三中の建築工事に思う
2010/04/15記
 昨年の12月議会で補正予算を通した木更津第三中学校の建て替え工事が、年度が替わってやっと4月9日に公告された。詳細は市のHPに記載されている通りであるが、木更津市で久々に10億円を超える予定価格の工事なので、思うところを何点か記載したい。
 
 工事の概要を転記すると
(1).工事の名称 木更津第三中学校校舎改築工事(建築)
(2).工事の場所 木更津市永井作一丁目1番1号
(3).工事の期間 平成23年3月18日限り
(4).工事の概要 建物概要
 ・校舎棟 鉄骨造3階建 建築面積 1,849.44u
       (延べ面積 4,968.19u)
 ・エネルギー棟 鉄筋コンクリート造1階建 建築面積 55.75u
 ・部室棟 鉄筋コンクリート造1階建 建築面積 124.92u
 ・渡り廊下 鉄骨造1階建 建築面積 12.19u
 ・外構工事 一式
 ・改修解体工事 一式
(5).予定価格 10億5252万円 (消費税・地方消費税を含む)
(6).最低制限価格 8億9464万2千円 (同上)
である。
 
 12月議会での補正予算は、14億3791万円で有るが、その額の中には別途発注される電気工事、設備工事等の金額も含んでいることや、設計をつめた結果として今回の建築工事ではこのような予定価格となった訳である。
 
 工事概要以外に重要な点として、今回の入札に参加できる業者の条件が『経営事項審査結果通知書の建築一式工事の総合評定値が1,500点以上の者』としている事である。具体的に解説すると、この条件に到達する業者は竹中・清水・大成・鹿島・大林というスーパーゼネコンを筆頭に、大手建設会社が名を連ねるが、地元業者で条件を満たす会社は居ない。敢えて言えば木更津に支店を置いている東亜建設工業が準市内業者扱いではあるが県内に本店を置く業者は一つも参加できない状況なのである。
 つまり本市に納税していない会社がこのように大きな工事を持っていく可能性が高いという事なのである。
 
 理由を考えると、本件の入札日が平成22年5月13日なので、それから平成23年3月18日までの10ヶ月の間にこれだけのまとまった工事を完成させる能力として考えると、大手の能力を必要とする事になると判断したからのようだ。
 私の現場経験で考えても、入札後の40日ぐらいは施工計画書の立案や技術者・下請け・材料の選定、役所や工事周辺への挨拶などであっという間に過ぎてしまうので現場着工は7月に入る頃になるだろう。さらに後期末には各種機関の検査が入るので、外構工事を除いて2月中旬に終えることが望まれているのに、間には正月休みが挟まるのである。
 着工後は、現場で杭の打設を行っている間に工場では鉄骨の施工や建具・家具等の製作が並行して動かないと、この厳しい行程には収まらない事は良く解る。施工図の作成やチェックなどは早期に済ませないと間に合わないので、複数の技術者が同時に携わる必要があるだろうと思われる。
 また、工事の前金は5千万円を限度としているので、完成するまでに数億円を建て替えられる資金力や信用の有る企業にする事が望まれるのも解る。
 
 仮に受注した会社の能力不足によって工期が延びた場合は、市が国からもらえる補助金の額が大幅に減ってしまうという事情を考えると工期遵守を優先する考えには同意できるが、それでも地元の会社に門戸を塞ぐような制限は付けないで欲しかった。
 また工期が厳しいのは解っているから12月補正で議会認定しているのに、設計の問題と推察できるが、結果として発注が遅れてしまったことが残念でならない。
 逆に無理して発注にこぎ着けている場合に良くある話としては、関係者の同意が取れていないままに見切り発注になる事が有るが、今回にそのような事があった場合は致命的に成りかねない。
 
 さらに入札の手法として、3月議会で低入札価格調査制度の導入について質問を行った結果、本年度から近隣市と同様に導入することが決まったようだが、制度設計に時間を要する関係で、本件工事については制度の適用を受けない。つまり最低制限価格を下回って応札したものは失格となるのである。
 工事額から1%は約1千万円に相当するので、仮に最低価格より安価に出来る大手企業が居ても、そこに利潤を多く確保する結果になると考えると、それも残念な話である。
 
 今年度には第三中だけでなく馬来田小・祇園小・高柳小・八幡台小・太田中・金田小の7校で耐震や校舎増築などの工事が建築・設備・電機と3業種に分けて発注されるので7×3=21件の工事が予定されている。この第三中の建築工事だけが特別な扱いである事は状況から理解するし、他の20件の発注については通常の配慮が有ると聞く。
 色々状況は解るのであるが、残念な思いを拭えない工事が出される思いである。