厚木基地周辺整備に思う
2010/04/21記
 木更津市では自衛隊基地の周辺整備事業として江川総合運動公園の拡張整備を要求し、本年度はそれに向けて土質調査が開始される予定だ。野球場2面、サッカー場2面、陸上競技場など、整備レベルが多少高いような気もしている頃、厚木基地の周辺整備はさらにグレードが高いものを事業化しているようだという情報を入手した。現場主義者の私としては見に行くしかないだろうと思い、20日の午前中にアクアラインバスと相模鉄道を使って現地調査に向かった。車を使うと点の調査は楽だが広く細かく周辺を見られないので公共交通機関を移動手段にしたのだ。天気が良ければ自転車を持っていくつもりだったが午後から雨と解っていたので10km近く歩く覚悟を秘め軽装で向かった。
 
 小田急高座渋谷駅で降りて地図を便りに基地の南側を目指す。中原街道で基地が見えてくると、その反対側に引地川公園ゆとりの森が見えてくる。ネットからダウンロードした地図に示された公園範囲より遙かに大きいようだ。入り口近くに居た現場管理者に図面を借りて近くのコンビニでコピーを取ったものが下図である。
 
 大和市と綾瀬市にまたがっている施設であるが、野球場2面、サッカー専用コート2面、多目的使用のサッカー場2面、ソフトボール用球場1面、少年サッカー場2面、テニスコート14面等の他に管理棟や広大な芝生広場が計画されている事に驚いた。木更津市の要求などは軽微なものだと思わされた。
 
 工事は平成26年完成予定と言うことでまだ半分も出来ていなかったが、子どもが遊べるフワフワドームや少年サッカー場は出来ており、休日の利用者はかなり多くいるものと思われる。運動資材小屋やベンチ上屋などを設置するなど整備レベルも高く感じられる。
 
 滑走路の延長線上には施設を設けず、調整池機能を兼ねた芝生広場や小川などを配置しているが、そこでも芝桜等がきれいに咲き、名称通り地域住民の「いこいの」場に成りそうである。なお、この日は海上自衛隊の大型機とヘリコプターの離発着訓練が繰り返されていた。
 
 木更津では航空法の高度制限で、フェンスの扱いに気を配っているが、ここでは全て高いフェンスで覆われており、周辺散策者にファールボールが当たるような危険性は見られない事にも差を感じる。厚木基地が広いため、高度制限を受ける範囲が基地の中に収まっているものと思われるが、そこまでは確認できなかった。
 なお、脱線して、さらにどうでも良い話であるが『厚木基地』と言いながら大和市と綾瀬市の間に有るし、JRと小田急と相鉄が乗り入れる『厚木駅』は海老名市に有る。木更津は全てが一体化していて良かったと思う。
 
 大和市の場合、ここから遠くない場所に引地台公園があり、室内水泳場とナイター設備付きの野球場が既に存在している。HPで調べると他にも多くの運動施設を擁しているようで、本市のように不足する運動施設を補うために整備を必要としている訳で無いようだ。
 本市の1/5弱の面積に2倍近い人口を抱える大和市では、自治体として整備すべき公園施設が多くなることも理解できるし、米軍のジェット戦闘機の離発着で本市とは比べものに成らないほどの騒音を受けている事も解る。しかし、木更津の整備レベルも高くなっても良いのではと現地を見ながら思ってしまうのである。
 
 次に基地の北側ではどうなっているか見に行くと、基地の側近では農地や市の焼却灰処分場などがならび、公園としての土地利用は少し離れた場所から始まっている。また離発着のトラブルを避けるため相鉄や東名高速は地下化して覆土してある。
 北側に広がる『ふれあいの森』や『泉の森』も自然環境の保全が素晴らしく、平成4年度に建設省が全国30ヶ所を「手づくり郷土賞」として表彰した中の一つになっているという事を知った。基地の存在という負の面を逆転して、地域を良くしようとしている姿勢には感心するばかりである。
 
 大きな自然観察センターなども含めて施設の維持管理が大変だと思うし、これらを運営するための『財団法人大和市スポーツ・よか・みどり財団』の活動などについて別途調べたいと思いながら帰宅した。やはり現場を見ることは参考になるが、アスファルトの上で長距離を歩き回るのは山を登るより疲れると思うのだった。