恋人の聖地を考える
2010/05/31記
 木更津市は観光事業の一環として『恋人の聖地プロジェクト』で聖地の指定を受けられるように目指しており、恋の森(太田山)と中ノ島大橋という駅の東西に有る有力候補の中から、木更津キャッツアイで有名になり恋人をおんぶして渡ると恋が実るという伝説が生まれた中ノ島を候補地としてエントリーし、認定された。
 千葉県内では他に八千代市の「京成バラ園」と富津市の「石のまち金谷」が認定されており、先月18日には金谷港で「聖地のモニュメント」除幕式を含めたイベントが開催されている。
 千葉県最初のモニュメントを見るために26日に金谷に行ってみたが潮風を多く浴びる場所であるため、わずか2ヶ月にしてプレートに錆が発生し文字が滲んでいた。
 せっかく見に行って汚さにがっかりしないよう、木更津では注意が必要であろう。
 なお、恋人の聖地プロジェクトはNPO法人地域活性化支援センター(静岡県静岡市葵区)が主催するもので、観光地の創出が主目的ではなく、恋人が愛を語り結ばれることで少子化対策になる事を目指しているようだが、個人的な感性では観光地に対する箔付事業である。
 
 世間的に認定された箔付の効果は絶大であり、特に『世界遺産』に選ばれれば集客力が著しく向上することは先進地の事例が証明しているので、国内でも多くの地域が手を挙げている。
 世界遺産だけでなく、例えば深田久弥によって『日本百名山』に選ばれた山はバスで登山客が押し寄せている事を初め、日本三景や日本三大桜等に選ばれた場所は大勢の観光客による経済活性化に成功している。
 その一方、例えば読売新聞が昭和62年に読者アンケートで選んだ『新日本観光地百選』では、その結果が受け入れられるような水準ではなかったため直ぐに陳腐化し、それによる観光価値を高めることもないし、現在口にするものも殆ど居ない。
 
 日本百名山は深田久弥が勝手に選んだものであり地元の負担は生じないが、恋人の聖地へ参加する場合はNPO法人の運営経費として、初年度は24万1500円、次年度以降は15万7500円が必要である。現在のように百ヶ所程度の体制では年間2千万円だから、他に企業協賛等を得ないと多くのスタッフを置いて活動を広げることは出来ないだろう。
 拠出する側としては、高い理念に協賛しての支援より、現実的にはそれによる経済効果を期待してしまうだろうし、新日本観光地百選のように意味が無くなれば手を引くことが求められるだろう。
 
 今日はこれからバカ貝による地域活性化を考える集まりに出席する。最近は『愛Bリーグ』による食による地域活性化の動きもあるので、個人的にはそれを念頭に置きながら会議に臨む。
 恋人の聖地同様、箔付の効果を検討する必要があるが、少なくとも全国大会である『B−1グランプリ』では2日間で26万人を集めるという実績を見ると現在は旬な話である。
 個人的には誰かの評価によらないものを自分自身で見つけたときの喜びを大切にしているが、大衆を相手にするときにはラベリング効果は仕方ないのだろうと少し残念に思っている。