日本の空港を考える
2010/06/12記
 菅直人民主党代表が第94代内閣総理大臣となり、8日の就任会見で『効果の薄い公共事業、例えば100に近い飛行場をつくりながらまともなハブ空港がひとつもない』という発言をされた。
 確かに日本のハブ空港は韓国の仁川だと言われるように、日本の地方空港から欧州線に乗り換えるのは羽田と成田の乗り継ぎを行うより仁川空港の方が便利な状況であった。羽田のD滑走路が供用を開始する10月末から国際線も就航を始めるので幾分は便利になると思うが、成田空港を所有する千葉県としては手放しで喜んで良いのか微妙なところである。
 
 さて、この空港が100近くも必要なのかという議論は、静岡空港と茨城空港が開港する頃に多くされていた話で、多くの空港が需要予測を誤り赤字である事が問題視されている。
 ただ100(正しくは98)という数字だけが一人歩きしており、その内訳について言及する報道が少なかったので個人的に調べてみた。データの出典は国土交通省のHPWikipediaである。
 一覧表に整理すると下表のようになった。どうでも良い話であるが、私が利用した事がある空港は38箇所にも成っていた。
区分 名称 所在 備考 利用実績
1 会社管理 成田国際空港 千葉県
2 関西国際空港 大阪府
3 中部国際空港 愛知県
4 国管理 新千歳空港 北海道
5 稚内空港 北海道
6 釧路空港 北海道
7 函館空港 北海道
8 仙台空港 宮城県
9 東京国際空港 東京都
10 新潟空港 新潟県
11 大阪国際空港 大阪府
12 八尾空港 大阪府 定期航路無
13 広島空港 広島県
14 高松空港 香川県
15 松山空港 愛媛県
16 高知空港 高知県
17 福岡空港 福岡県
18 北九州空港 福岡県
19 長崎空港 長崎県
20 熊本空港 熊本県
21 大分空港 大分県
22 宮崎空港 宮崎県
23 鹿児島空港 鹿児島
24 那覇空港 沖縄県
25 特定
地方管理
旭川空港 北海道
26 帯広空港 北海道
27 秋田空港 秋田県
28 山形空港 山形県
29 山口宇部空港 山口県
30 地方管理 利尻空港 北海道 離島
31 礼文空港 北海道 離島(航路無)
32 奥尻空港 北海道 離島
33 中標津空港 北海道
34 紋別空港 北海道
35 女満別空港 北海道
36 青森空港 青森県
37 花巻空港 岩手県
38 大館能代空港 秋田県
39 庄内空港 山形県
40 福島空港 福島県
41 大島空港 東京都 離島
42 新島空港 東京都 離島
43 神津島空港 東京都 離島
44 三宅島空港 東京都 離島
45 八丈島空港 東京都 離島
46 佐渡空港 新潟県 離島(航路無)
47 富山空港 富山県
48 能登空港 石川県
49 福井空港 福井県 定期航路無
50 松本空港 長野県
51 静岡空港 静岡県
52 神戸空港 兵庫県
53 南紀白浜空港 和歌山
54 鳥取空港 鳥取県
55 隠岐空港 島根県 離島
56 出雲空港 島根県
57 石見空港 島根県
58 岡山空港 岡山県
59 佐賀空港 佐賀県
60 対馬空港 長崎県 離島
61 小値賀空港 長崎県 離島(封鎖中)
62 福江空港 長崎県 離島
63 上五島空港 長崎県 離島(封鎖中)
64 壱岐空港 長崎県 離島
65 種子島空港 鹿児島 離島
66 屋久島空港 鹿児島 離島
67 奄美空港 鹿児島 離島
68 喜界空港 鹿児島 離島
69 徳之島空港 鹿児島 離島
70 沖永良部空港 鹿児島 離島
71 与論空港 鹿児島 離島
72 粟国空港 沖縄県 離島
73 久米島空港 沖縄県 離島
74 慶良間空港 沖縄県 離島(航路無)
75 南大東空港 沖縄県 離島
76 北大東空港 沖縄県 離島
77 伊江島空港 沖縄県 離島(航路無)
78 宮古空港 沖縄県 離島
79 下地島空港 沖縄県 離島(航路無)
80 多良間空港 沖縄県 離島
81 石垣空港 沖縄県 離島
82 波照間空港 沖縄県 離島(航路無)
83 与那国空港 沖縄県 離島
84 共用飛行場 丘珠空港 北海道 陸上自衛隊
85 三沢空港 青森県 航空自衛隊
86 茨城空港 茨城県 航空自衛隊
87 小松空港 石川県 航空自衛隊
88 米子空港 鳥取県 航空自衛隊
89 徳島空港 徳島県 海上自衛隊
90 その他の
飛行場
弟子屈飛行場 北海道 2009年廃止
91 調布飛行場 東京都
92 名古屋飛行場 愛知県
93 但馬飛行場 兵庫県
94 岡南飛行場 岡山県 定期航路無
95 広島西飛行場 広島県
96 天草飛行場 熊本県
97 大分県央飛行場 大分県 定期航路無
98 枕崎飛行場 鹿児島 定期航路無
 
 関西国際空港と伊丹(大阪国際空港)の重複は前者の大きな赤字のために良く話題になるが、他にも中部国際空港と小牧(名古屋空港)、岡山空港と岡南空港、広島空港と広島西空港など、新しい空港が出来ながら既存空港を廃止できなかった事例が何組か発見できる。
 また米子空港と出雲空港、小松空港と福井空港のように双方の距離が近くてどちらかに集約する事が当然と思われるものや、八尾空港や大分県央空港のように定期航路を相手にしていない空港も多い。
 廃止された弟子屈空港を含め定期航路の無い空港が14にも登っていると、確かに無駄な空港を作り続けたものだと思う一面も有る。しかし多くは離島の空港で、新幹線や高速道路が来ないという立地条件に加え、緊急時の患者搬送などで必要とされるものではないかと現場を見てきた感覚では思うところである。
 
 因みに都道府県別に整理すると下表のようになり、まだ空港未整備県が9府県(栃木・群馬・神奈川・山梨・岐阜・三重・滋賀・京都・奈良)もあるので、自治体のエゴが出たり、知事の実績造りに使われたりすると、軽く100を越える危険性があったのだ。 
北海道 14   埼玉県 0   岐阜県 0   鳥取県 2   佐賀県 1
青森県 2 千葉県 1 静岡県 1 島根県 3 長崎県 6
岩手県 1 東京都 7 愛知県 2 岡山県 2 熊本県 2
宮城県 1 神奈川 0 三重県 0 広島県 2 大分県 2
秋田県 2 新潟県 2 滋賀県 0 山口県 1 宮崎県 1
山形県 2 富山県 1 京都府 0 香川県 1 鹿児島 9
福島県 1 石川県 2 奈良県 0 徳島県 1 沖縄県 13
茨城県 1 福井県 1 兵庫県 2 愛媛県 1  合計 98
栃木県 0 山梨県 0 大阪府 3 高知県 1
群馬県 0 長野県 1 和歌山 1 福岡県 2
 
 以上のように空港の問題を記載しながら、実は陸上自衛隊の木更津基地に有る滑走路を民間共用できるようにして、ビジネスジェットを誘致したいと私は考えている。
 千葉県下の経済6団体が中心となり、千葉県が有する力を最大限に発揮させることを目的として、2007年5月に設立された『千葉力創造研究所』が2009年8月19日に発表した報告書によると、北米地域のビジネスジェットが13,273機で有るのに対し、日本国籍機は54機と極端に少なく、東アジアまで展望すると潜在需要は極めて大きいことが示されている。さらに先進国の主要都市にはビジネスジェット専用空港が有るのに首都圏にはそれがないこと、羽田・成田と一体的な運用を考えるときに中間的な位置に有ること、最初の表にある共用空港に示すように自衛隊との共同運用で有れば初期投資も少なく、管制も共通化出来ることなどから、木更津の価値は高いものであろう。
 ちなみに発着枠に余裕がある茨城空港は、残念ながら都心からの時間距離に難があり、設備が完備されていながらも利用される計画があるとは聞いていない。
 
 木更津飛行場が民間機も離発着出来るように成る頃には、現在定期航路が就航していない福井空港や岡南空港(旧岡山空港)等から首都圏に来るのにビジネスジェットを活用する時代になっているのか、それとも化石燃料を極力使用しない世の中になり、新幹線の評価が高くなっているのかは見えてこない話ではある。それでも、せっかくの財産である既存滑走路の活用策を考えない事は、宝の持ち腐れではないかと思っているのだ。
 菅総理大臣の記者会見を見ながらそんな事を考えたが、今回は自分の議会質問が近い日々なのに、このHPのための資料整理に疲れてしまった。