議員年金制度を考える
2010/07/05記
 先週の水曜日に閉会した6月議会中に議員配布された資料の中に全国市議会議長会と市議会議員共済会の連盟で『地方議会議員年金制度に関する適切な措置を求める要望』という書類があった。これは現在の制度のままでは市・町村共済会の積立金は平成23年度には枯渇するので、地方議会議員年金制度の変更を行うか、国会議員互助年金の廃止の例に沿って廃止を行うことを望むものである。
 
 このように地方議会議員年金が危機に瀕している理由は平成の大合併によって全国的に地方議会議員数が減る一方で、大量に辞職した元議員という受給者が急増したためである。前述の要望に記載された資料で平成10年と平成21年を比較すると下表のようになる。
項目 平成10年度 平成21年度 増減
市区町村数 3,255 1,750 -1,505
議員概数 60,000 34,000 -26,000
受給者概数 79,000 91,000 12,000
共済会収入 億円 504 521 17
共済会支出 億円 518 663 145
年度末積立金 億円 1,913 346 -1,567
 
 この状況に対応するため、平成14年と18年に改正を行い、下表のように議員の負担を増やすと供に、給付を削減してきた。
改正前 H14改正 H18改正
現役議員給付 50/150 40/150 35/150
退職済議員給付 50/150 50/150 45/150
議員通常掛金 11% 13% 16%
議員特別掛金 0.5% 5% 7.5%
公費通常負担金 9.5% 10.5% 12%
公費特別負担金 0% 0% 0%
公費激変緩和負担 4.5%
 この改正後に当選した私の場合、毎月の議員報酬の16%が掛金として徴収されている。具体的には45万円のうち7万2千円が天引きされているのである。ちなみに市もそれに対し12%の負担を行っているので毎月5万4千円の税負担をいただいている事に成る。さらに当面の間激変緩和措置の4.5%に相当する2万250円も税負担しているので、現在は議員の負担より毎月2250円多い税支出が発生している。
 特別掛金とは期末手当に関して掛けるもので、これは議員だけが7.5%の負担を行い、自治体の負担は行わないという事である。これを加えて2009年の1年間に支払った掛け金は百万円を超えているのである。
 
 ちなみに平成18年4月1日に廃止された国会議員互助年金制度を現在の地方議会議員年金制度と比較すると下表のようになる。
国会議員 地方議員
受給資格 在職10年以上 在職12年以上
給付水準 50/150 35/150
平均年金額 約443万円 約103万円
議員通常掛金 10% 16%
議員特別掛金 0.5% 7.5%
公費負担率 約70% 約40%
 地方議会議員に比べれば、遙かに国会議員の方が激務であることは認めるが、国会では自らに甘い制度を作っていた事を今更ながら感心する。
 
 さて、3月に行われた木更津市議会議員補欠選挙で、議員年金の廃止を公約に掲げた候補者があった。単独議会の意志決定で辞められるものなら辞めたいと思っている議員は大勢居るが、それは国民年金を払いたくないという意見と同様で、制度変更を行わない以上、脱退する自由もないのである。例えば廃止という公約を地方議会で実現する方法としては内閣宛に意見書を出すことぐらいしか無く、蟷螂の斧という言葉が相応しい行為である。
 
 しかし、個人的な見解を言えば、すっぱりと廃止に向かうべきだと思うのであるが、これを生活の中心にして現在の生活を営む元議員が多く、調整に労力を要することは明らかである。どことなく破綻したJALの企業年金に似ていると思っていた。
 
 ※激減緩和措置の金額記載を7/17に追記した。