非核都市を考える
2010/08/10記
 今年はヒロシマ・ナガサキに原爆が投下され、多くの市民の命が一瞬に奪われてから65周年となる。人類史を変えてしまうほどの大きな出来事であるが、65周年にして初めて式典に国連事務総長、イギリス・フランス・アメリカ(ヒロシマのみ)の政府代表者が出席するという記念の年になった。
 
 ソビエトや中国の代表者は、アメリカが行った軍事行為を避難するという意味も込め、過去の式典で参加してるので、安全保障理事会で拒否権を持つ全ての国がやっと列席を果たしたことになる。
 ここに至る経緯として、オバマ大統領がプラハで行った核廃絶へ向けた演説やノーベル平和賞の受賞等があり、現実に米露間で核兵器削減への動きは生じてきた。さらに韓国出身の潘基文(パン・ギムン)事務総長のリーダーシップも重要である。1944年生まれの事務総長は、法的には生まれたときに大日本帝国国民であったし、原爆被害者の存在を遠い異国の事とは思えないだろう。
 
 ナガサキの式典で田上長崎市長が「非核三原則の法制化」を望んだことに対し、菅総理は私的に検討すると答えている。現実的には核抑止力の均衡の中に世界平和が存在しているが、理想的には一刻も早く核兵器を所有することだけで国際法違反になる時代が来て貰いたいと願うところである。
 
 さて、国家の取組とは別に自治体が「非核平和都市宣言」を行うことが全国的に取り組まれている。本市の宣言は市のHPによると下記の通りである。
 『世界の恒久平和は、人類共通の願いです。
この崇高な理想を達成するためには、国際理解を深め、悲惨な戦争や環境の破壊、あらゆる差別のない、人が人として尊ばれる心豊かな社会をつくることであり、これが、真の平和を実現することだと考えます。
 私たち木更津市民は、基本的人権と人間の尊厳、平和を愛する信念を改めて確認するとともに、平和を誠実に希求し、力を合わせて努力することを誓い、ここに「平和都市木更津」を宣言します。
(平成3年1月1日宣言)』

 
 非核や平和を宣言した自治体は日本非核宣言自治体協議会のHPによると、本市を含む1,497の自治体であるが、協議会に加入しているのは266の自治体に留まっている。県内では佐倉・成田・流山・浦安・四街道・八街・松戸・大網白里・横芝光の7市2町が加入しているようだ。ちなみに協議会の事務局は長崎原爆資料館内に有り、会長は田上長崎市長である。
 日米安保条約で米軍に専用されている(使用者は陸上自衛隊で米軍の常駐は無い)木更津基地を所有する本市の場合、このような宣言を行っても、米軍機が飛来した場合などに核兵器を外しているか臨検する権限もなく、平和がスローガンで終わっていることも事実である。何より本市は非核の宣言はしていないのだ。
 
 現実的対応は外交の範囲であり、自治体には何もできない。それだからこそ草の根的な平和活動が持続されることは重要である。今までは東西冷戦の中でそれぞれの陣営が他方を非難する手段として平和活動を利用していた時代もあったし、政党支持の拡大として利用される事も多かった。一時期は共産党系と社会党系の団体が別の行動をとり、多くの国民に失望を抱かせていた。しかし、今時代は世界から変わりつつあると感じている。
 人口5万を越える本市が協議会に加盟する場合、年会費6万円を払うことになるが、非核平和活動の負担金と考えると加入検討してみても良いのかも知れない。長崎からの映像を見ながら、そんな事を考えていた。