大潟村の取り組みを思う
2010/10/13記
 連休に紅葉の山を求めて秋田へ行った。残念ながら天気に恵まれず連日ご当地B級グルメなどを食べて温泉に入って帰ってきただけであるが、横手インターより高速に乗る前に立ち寄った秋田ふるさと村の土産物売場で目に付いたものがあった。
 
 写真の『フォー』や『ごはんめん』は大規模干拓地である大潟村が転作として栽培している加工米より作成した純国産米粉による商品である。
 民主党の農業政策では食料米の転作に加工米を作ることが認められているのである。
 先日、テレビでこの取り組みを行っているのを見た記憶が呼び戻され、それぞれ1個づつ買って帰ってきた。
 
   
 日本の米は炊いて食べるために品種改良が進んできたため、米粉として麺を作るまでには大夫苦労したようだ。『ごはんめん』の裏に書いてある現材料名を見てもデンプンや増粘剤も使用しているが、それでもカロリーベースではほぼ100%国産であるので食糧自給率の向上には寄与しているのは間違えない。今後は優秀な農業試験所の技師が麺にすると美味い米を発見してくれることを期待したいものである。
 
 食糧自給率を計る物差しとして『カロリーベース』を使っているのは日本だけだと『日本は世界5位の農業大国』(浅川芳裕著:講談社+α新書)に書いてあり、目から鱗が落ちたことがある。確かに野菜農家がどんなに苦労しても食糧自給率には殆ど寄与しないことは正しくない。しかし、主食を海外に頼る問題は個人的には大きいと考えている。
 今回の大潟村の取り組みは、米作りに適したアジアモンスーン地帯の日本では多くの可能性を秘めたものであり、小櫃川沿いの広大な水田を抱える本市でも検討すべき事であろう。事実、中郷では取り組みが始まると聞いている。
 
 日本人の米離れで、本来は炊いて美味い物である米をわざわざ麺やパンにしなければ成らないという事に違和感も残るが、現実にはラーメン文化が幅を広げて、尾道や徳島のようにご当地ラーメンがもてはやされている。
 最近ブームになっているB級グルメでも厚木大会にエントリーした46品中、米料理が9品に対し麺ものが15品でお好み焼きや餃子のように小麦粉製品まで含めるとほぼ半数の22品にもなっている。それ以外はホルモンやおでんのように炭水化物を中心にしていないものである。
 これらのように、地域文化を代表する食材の主要な部分には現地で生産された米でなく、膨大な距離を運搬されてきた小麦が使われているのが大多数を占めるのが現状である。
 
 そんな事を考えながら『フォー』を食べてみた。ラーメンに比べるとサッパリとした味であるが、なかなか美味であり、これをベースに商品開発は十分可能なものだと思う。
 ご当地ブームの奥には食材を可能な限り現地調達するという思想があるべきと思うのである。