アクアラインの料金を考える
2010/12/10記
 本日の朝日新聞朝刊にアクアラインの値下げは国の予算で行わず、地方負担を前提とする方針であると記載があった。現在の料金は恒久的になることを前提に房総半島に進出した企業や移転してきた居住者にとっては不安をかき立てる記事であるだろう。
 むろん地元の反発は大きく、森田知事や与党の中後代議士も受け入れられないと言うコメントを発表している。一度値下げして地域開発が進んでいる状況にあっては『時計の針を戻すような事が有っては成らない』のである。
 
 アクアラインや京葉道路などは一般有料道路なので区間別に料金が決められることになるが高速国道法に指定されている道路では料金プール制を取り入れ、建設時期や工事費に関わらず、一定の法則で料金が算出されている。ちなみに、旧日本道路公団が管理する高速国道の通行料金は、均一料金区間を除き、現在の所、下式で金額が算出されている。
 
 通行料金≒(150円+距離×1kmあたりの料金)×1.05
  ※端数については24捨25入し50円単位としている。
 1kmあたりの料金は、普通車の一般部で24.6円であり、大都市近郊区間では29.52円、長大トンネル区間では39.36円と成っている。また、長距離割引として100kmから200kmの部分は25%、200kmを超える部分については30%の割引をしている。
 
 6日の『東京湾アクアラインの料金引下げの恒久化に向けた総決起集会』で挨拶された中後衆議院議員の挨拶では全国一律の距離別料金であるという話をされていたが、上記のように実は正しくない。何れにしろ、橋梁部分も含め15kmのアクアラインの全てを長大トンネル料金で計算(150+15×39.36)すると740円になるので、高速道路に編入すれば今の料金より50円程度さらに下げられることになる。
 本四架橋など幹線道路は全て高速編入して料金を一律にしてしまえば解りやすい料金体制が出来るのであるが、東名利用者等からは既に建設費の全額を償還しているのに何時まで取り続けるのかという苦情も出ている中で、地域的な巨額の負債を日本全国で受け入れることに異論は多い。そのため、木更津金田から木更津JCTまでのアクア連絡道路も館山道路(正確には東関東自動車道館山線)に編入されず高い料金設定がされたままである。
 ただし、前例がないわけではない。関越自動車道は国道254号線パイパスである「東京川越道路」として開通していたものを高速編入しているし、山形自動車道の笹谷トンネルは国道286号線パイパスであったものが平成10年7月1日に高速編入されたものである。国道409号線であるアクアラインを高速編入するためには非常に煩雑な法手続が必要となるが、政治の決断さえれば出来ない話ではない。
 
 なお、個人的には計算式にある150円という固定部分、自分が道路公団に入った頃の昭和61年頃の料金変更から導入されたと記憶しているターミナルチャージ(鉄道の初乗り料金に近い感覚)が気に入らない。料金所の維持に係る費用を上乗せしているので有るが、首都圏近郊のように頻繁に料金所を通行するようなネットワークを作ったのは設計側の理屈であり、現実に一般道に出ないので有れば徴収しない事が常識であろう。
 それどころかETC普及の現在においては有人料金所時代の料金を徴収することに問題を覚える。来春の料金改正の目玉が上限2千円と有ったが、1日最大3千円とかに設定すれば頻繁に高速を降りることが出来、今まで通過地域であった場所も活性化が始まるのに残念な政策だと思うところである。
 
 話がずれてしまったが、今後料金値下げのため、地元自治体の負担を求めるような話になった場合を議会人としては想定する必要が出てきたのかもしれないと報道を読みながら思い、そもそも論としての高速道路行政に対し、如何に異論を鋏むべきかと考えている所でもある。