新時代の産業を思う
2011/01/04記
 平成23年が始まり、最初の『思うこと』には新年の期待も込め、少しの夢を語ってみたいと思う。
 
 昨年末に、かずさDNA研究所がバイオ燃料の元に期待されるナンヨウアブラギリの全ゲノム解読に成功したというニュースが入ってきた。
 ナンヨウアブラギリを調べてみると、別名タイワンアブラギリと言われる中南米原産の中低木で、やせた土地でも生長が早く旱魃や病気に強いので1ヘクタールあたり5トン程度の種子が収穫できるようだ。この種子は毒性が強いが油分に極めて富み、ナタネや大豆ヒマワリなどより採油効率が高いとされているので、植物性バイオディーゼル燃料の材料としても脚光を浴びている。何よりトウモロコシのように食料を燃料と奪い合うわけでは無く、通常食用植物の栽培が行われない酸性土壌でも育つことが評価されている。
 ただ、年平均温度が高い地域で生育するので、冬の寒さが厳しい木更津周辺では育成が難しそうだ。寒さに強い遺伝子を組み込むことで山砂採取場跡地等で栽培出来れば、緑化と天然油生産の両方が達成できるだろう。
 より寒さと乾燥に強くなればゴビ砂漠や黄土高原の表面を覆うことで黄砂の被害も防止しながら中国の膨大な燃料消費を僅かでも自給することにつなげて、世界的な石油資源の争奪が緩和されることが出来れば素晴らしいと思う。そのような研究の最前線に本市に有る研究所が貢献していることを誇りに思う。
 
 それでも個人的に思うことは別の所にある。それは、日本の沃野は降水量や日照にも恵まれ、陸上では食料生産を行うべきであると思うのだが、その一方で世界第6位の排他的経済水域を持つ海洋部分が有効に機能していないことを考えると、海藻類を主にバイオ燃料を生産する方法を確立するべきではないかという事である。
 既に新生アポロ&ポセイドン構想という考え方を持った人達も居るようで、研究には取りかかっているようだが、海藻類には水分含有量が多いことや塩分の問題などがあり、順調に進んでいる訳では無いようだ。
 その様な難題が解決され、例えば潮干狩り場を覆うアオサを燃料の元にするプラントが木更津に立ち上がった場合には、東京湾の浄化、魚類の産卵場の形成等の効果も伴うだけでなく、新エネルギーの旗手として夢を世界に発信することが出来るようになるのではないだろうか。可能で有れば東京湾産の燃料で車を走らせて見たいものである。
 
 今年は現実的な対応が多く求められる年になるので、せめて年当初には夢のある話をしてみたい、そう思いながら新時代を考えてみた。