木更津市議会の明日を思う
2011/02/14記
 アフリカのチュニジアで1987年から続いてきたベンアリ政権が民主化を求める民衆の力の前に崩壊した事に続き、29年間の長期政権を敷いてきたエジプトのムバラク大統領も11日に辞任したという報道が行われている。
 アラブ諸国の中では両国とも政治情勢が比較的安定していると思われていたが、若者の失業率の上昇や貧富の差の拡大など、市民の間に溜まった不満がフェイスブックを始めとしたソーシャル・ネットワーキング・サービス等によるインターネットツールで情報が交換され、民衆の爆発的な力になったようだ。
 北アフリカと同じような政変が東アジアの1党独裁の国で起こる気配は現在の所発生していないが、先日生じた名古屋のトリプル選挙で生じた投票結果も、インターネットツールが果たした効果は無視できないであろう。
 
 日本は三権分立の国家であるが、政治学者の中には報道が国民に与える影響と報道の自由の確保を考慮し、マスコミを第四の権力として定義している人達がいる。しかし、昨今の個人による情報発進力の強化を考えると、マスコミの権力と同じぐらいインターネットの力が台頭しているのではないかと、アフリカや名古屋の結果を見ながら考えているのである。
 
 さて、前置きが長くなったが、今回の思うことは現在進行形の統一地方選挙に向けた木更津市議会議員候補者の体制である。劇的にネット社会が進んでいる中で、インターネット情報発信を行っている議員の数は片手で数えられる程度である。それどころか早急に知名度を高めねばならいと思われる、新人の方々の中にインターネットを使っている人達がごく少数しか見られない事はどういうことかと思っている。
 
 たしかに市議会議員の活動範囲は具体的に顔合わせが出来る程度の世界で行われることが多く、ネットのバーチャル空間よりリアルな社会が目前に有ることも事実である。今の私のようにキーボードやディスプレイに向かうより困っている市民の生の声を聞く方が有効な政治を行える事も理解できるし、そのような草の根政治を行っている多くの先輩諸兄の活動には敬服する所でもある。
 しかし、先日発表の国勢調査速報値で人口12万9千人を超えた本市の場合は、本来身近であるはずの市議会に全く関与する事が無いまま生活している膨大な市民が存在している事を意識するべきである。そのようなサイレントマジョリティが、ある日突然市議会の存在意義が無いと言い出したのが阿久根や名古屋の事例であると考えるなら、不特定多数の市民に向け、時間に関係なくアクセスできるネット情報を発信することは、少なくとも議会人個人と言うより議会全体の責任ではないかと考えている。
 
 現在の所、情報発信を行っていない新人候補が市議会議員となった後、議会全体の情報を市民に向けて発信するように成ってくれれば良いな、と多少上から目線であるが、そんな事を考えていた。