不安への対応を考える
2011/03/27記
 大震災報道も福島第一原子力発電所から飛散する放射性物質の話題が主力になってきている。週刊誌の中には科学的な裏付けが無く不安を煽るだけの記事が溢れ、中国や韓国では日本産の農水産物の値崩れが起きていると聞く。西日本に住む友人からのメールでは関東から避難した方が良いのではと書かれているし、近隣に住む友人も子育てが大丈夫か聞いてくる。
 政府は「ただちに健康に被害が出る値ではありません」と繰り返し伝えているのに、政府や御用学者は嘘をついていると根拠もなく疑い、自らパニックに拍車を掛けている中で、江戸川から取水した水道水から一時的に暫定基準値を上回る放射能が検出された報道により飲料水は店頭から消えてしまった。
 
 そんな中で地元にお住まいの方から『原発の恐怖に余震に高潮に大きな不安を抱いています。どうかこのエリアに御住まいの、特にお年寄り子育て中の方々が少しでも落ち着いて暮らせるように区からの回覧を是非お願いします。』というメールが届いた。政府が大丈夫だと言っている事を信じない人達が区の回覧を信じるだろうか・・・何かする必要は感じるが対応に苦慮している。
 
 そもそも木更津市の水道水は、地下水と小櫃川が水源で、放射性物質が飛散した利根川流域からは全く取水していない。また君津広域水道企業団が3月25日に採水した浄水の放射性ヨウ素の測定結果は大寺浄水場5.88[Bq(ベクレル)/kg]、十日市場浄水場8.88[Bq/kg]であり、ともに乳児が摂取を控えるべき濃度である100[Bq/kg]以下であって問題ない事は公表されている。
 たとえ100[Bq/kg]に達していても、それが一時的で有れば年間積算量が少ないため問題なく、さらには大人はこの3倍の量を年間通じて摂取したとしても、放射線被害の発生する確率が一般生活を送っている場合と大きく変わらないという、広島の原爆後遺症を調べた結果から持ち出された値なので、全く騒ぐ必要がないと私は思っているが、私より論理的に説明する学者の声も聞かない人達に何を伝えることが出来るだろうか。
 
 そんな、ほぼ安全が保障された数値なのに大騒ぎして買いだめや、遠くの山際に有る水場までガソリンを消費して水を汲みに行く人が居る一方で、明らかに危険領域に有る発電所の中で、福島の大地や日本国民の健康を守るために名前も伝えられない多くの人達が日夜奮闘しているのだ。
 そのような自衛官や消防や東電関連企業の皆さんに対し、貴方の行いは恥ずかしくないですか、と伝えることが日本文化的には最も解りやすい対応なのかも知れない。
 
 福島の野菜の中には出荷停止に成っていない品目も多くあり、北関東は停止に成っているものが僅かで、殆どは基準値以内である。基準値とは前に述べたように、その値が1年間継続されて、それを通常摂取量で執った場合に、健康被害が発生する確率が高くなる値である。一度や二度食べたところで、残留農薬で身体を壊す確立以下の被害しか生じないと思われるから、被災地支援の一環として北関東・福島の野菜を購入して食べるという行為があっても良いと思う。
 
 一時、プラスチック容器から環境ホルモンが溶出して人体に影響を与えるという情報が流れた。その騒動から日が経ち、一握りの人を除いてプラスチック容器に対する嫌悪感は忘れられたと思う。
 今回の放射能騒動がどの様な形で収まるか。それにはまず、福島の原発を人間のコントロール下に治めることだろうと思うと、やはり現地の英雄に思いを馳せずには居られない。
 第一ヘリコプター団が無事任務を達成して木更津に帰ってきた場合には、地元自治体として表彰しても良いのではないか、そんな事も考えながら、この不安に対する対応を悩んでいるのである。
 
 ※28日配信のメールでは小櫃川の表流水から放射性ヨウ素は不検出と成り、放射能に関しては問題は無くなった。個人的には清見台北側の下水道整備が進んでいないことによる家庭雑排水水の流入に伴う化学物質の影響の方が遙かに気になる。その一方で原子力発電所敷地内では猛毒性のプルトニウムが検出されている。但し濃度は冷戦時代に繰り返された大気圏核実験の際に日本に降ったものと同等で人体への影響はないらしい。検出の情報だけでまた騒動が起きる懸念がある。(3月29日朝追記)