年度末に色々思う
2011/03/31記
 明日から新年度が始まる。市役所では全職員960名中、260名の職員に移動の辞令が交付され、また新たに48名の新規採用職員が勤務し始める事になる。大震災による自治体の被災を受けて県を通じて職員派遣要請が来ているとも聞く。年度末には消防が陸前高田市に7名を派遣したが、年度が替わって4月4日から4月8日まで香取市へ下水道技術者を2名派遣するようだ。今後も多くの人的・物的支援が必要となる他に、子ども手当の支給額の変更を始めとした多くの補正が始まる新年度の開始である。
 
 埼玉県加須市では廃校に成った騎西高校に福島県双葉町役場と住民約1,200人が移動中と聞く。明日からは「さいたまスーパーアリーナ」ではなく高校校舎を利用して、全国に分散している町民に対して支援を開始するという異常事態の中で迎える新年度は想像を絶するし、それを支える加須市は人口12万人弱の自治体であり県や国の支援があるとはいえ頭が下がる思いだ。
 双葉町だけでなく広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、浪江町等がそれぞれ自治体を避難させて新年度を開始している。国家の成立条件として領土・国民・政府の3条件が必要であるが、領土に相当する市域を離れている状況で行われる自治体の役割は難しいことであろう。
 もっとも、鹿児島県十島村とか沖縄県旧竹富町のように役場が交通の要所である都市部(それぞれ鹿児島市と石垣市)に有った例もあるし、政府組織を考えれば亡命政府という物も有る。
 場合によっては避難が長期に渡るかも知れないが町民が一斉に住民票を移転することなく、精神的なシンボルとして重要な自治体に残しておく事は自治機能が低下していたとしても重要なことだと思われる。しかしその困難さは私の想像が及ぶ範囲ではない。
 本市が埼玉県加須市と同じように一つの自治体を受け入れるという話は今のところ無いが、例えば現在福島県郡山市に仮役場を設置している双葉郡富岡町(人口約1万6千人)を同名のよしみで富岡公民館を中心としたエリアで受け止め、旧富岡村が分割された木更津と袖ケ浦の双方で支援するというような事が(可能性はほぼ無いが)今後起きるかも知れない。
 
 現地に行かなくても出来る支援として、風評被害が著しい福島や茨城の農作物の内、安全が確認された物を積極的に購入するという方法がある。本来で有ればマスコミや芸能界が積極的に広告塔の役割を果たすべき行為なのに顕著な動きが見られない事が残念である。個人の自覚に任せるだけでなく、例えば市民会館の朝市で福島物産展の開催などの支援が公的に行われても良いのではと思う。これも新年度の課題だろう。
 
 県内では浦安市が液状化の被害で統一地方選挙の県議選を執行出来ないと表明している。浦安市選挙区の定数は2名で、民主、自民、無所属の計3人が立候補の意向を表明しているようである。選挙の態勢が取れない事を知っている立候補者が暫定的に2名に絞って無投票当選を決め、震災対策が終了して選挙を実行できる段階に成った時点で2名とも辞職し補欠選挙という名称で改めて選挙を行うという手段も有りそうだが、そのような事前調整は民主主義的に相応しくないと思うのか、非常時には仕方ないと考えるか、私が口を挟む話ではないが気になる話題である。
 
 本来で有れば、3月12日の九州新幹線の開通を受け、青森から鹿児島が繋がって日本が近くなった年として迎えられた新年度であっただろうが、その15時間半前に発生した地震でレールが断ち切られてしまった。それでも全員で被災地を救おうという意志の高まりで精神的に近くなる、近く成らねばならない新年度の開始であろう。年度末にあたりその様なことを思っていた。