議員の政策実現手法
2011/05/16記
 新会派羅針盤を結成以来、会員間の連絡手法としてメールが多用されている。それぞれ忙しい議員の間では一堂に会さなくて良いとか夜中遅くに酒を飲まずに意見交換が出来るなどメリットが大きい。
 さて、その様な中で今期当選した議員より政策実現の手法について質問を受けた。それに対する意見の中には『現制度の中では議員は予算や条例の策定過程に入れないので大まかな意味では政策実現は難しい。ただし提案する政策が正しいものと認識させれば市役所の方で政策に取り入れる』というものがあった。
 政策の執行という意味では市役所が実行すべき事であり、議員はその状況を見届けることと、一般市民としてボランティア的に関与する程度になるので議員が出きることは圧倒的に少ないが、政策が出きるまでの間に関与する役割は少なくないと私は思う。
 
 例えば平成20年3月に議決した『木更津市産業立地促進条例』の策定にあたっては経済環境常任委員会協議会で数回に渡り内容を検討しているし、江川総合運動公園の拡張整備が市の政策に取り込まれたのも4年前に議会の中に基地対策特別委員会を設けて議会の意見を集約するとともに野球連盟等の競技者団体に働きかけた結果であると認識している。
 他にも少子化の進展の中で教育環境の充実や学校耐震対策事業費の効率的投資等を目的とし、学校再編を検討する『小中学校適正規模等審議会』の設置や、橋梁長寿命化の為の診断事業については私を含む多くの議会質問で取り上げることで採用されてきたという自覚がある。提案する政策が正しいものと認識した結果といえばそれまでだが、認識させることは充分に政策策定過程に関与している事にならないだろうか。
 
 さらに大きな取り組みとしては巌根駅快速停止のように地域の住民による署名活動のように、議員だけに留まらない大きなうねりを生じさせることで政策を達成することが可能である。この場合に私が果たした役割は快速が停止しない事によるデメリットを定量的に整理して議員と執行部に提示することで、政策実現の必要性が高いことを理論的に裏付けたことである。多くは地域住民が勝ち得た成果であるから議員が政策に関与したという次元では無いかも知れないが、目標とした政策を達成する事に違いはない。
 
 もちろん、市の方針から逸脱した要求に対しては、いくら議員からの声であっても実現すべきでない事はある。逆に議員が言えば必ず何らかの対応をするようでは『毎日のように多くの議員が担当課に詰め寄ることになる』可能性があり、場合によると特定業界や団体の力ばかりが優先されることで、声を上げない多くの市民にとっては望ましくない行政と成ってしまう事も有ることは前提として理解せねば成るまい。
 
 職員も若く市役所行政に関する知識が不足している議員といえども背景には投票所に足を運び記名した千名を越える市民が居ることを認識しているので、市民を代表するつもりで政策実現に向けて折衝することは断れないし、投票した多くの方々も議員にそれを望んでいるはずである。
 職員に対し高慢に成らず、無理強いをせず、まして恫喝と思われるような行為を決してすることが無いように心がけ、立法側である議会と行政側である市役所が理解し合い切磋琢磨しながら良い木更津市造りに励んで行かねばなるまい。
 新議員からの質問を受け、そんなことを考えていた。