議会運営改革を思う
2011/11/18記
 京都府宇治市と滋賀県守山市で議会運営委員会による行政視察を行ってきた。今までも会派や各委員会による事業の視察を多く行っていたし、個人的にも先進地と思われる場所には数多く足を運んできた。しかし、議会の在り方を考え、運営をどの様に行うかという視点での視察は始めてであったので大変参考になることが多かった。
 
 国政でも政権交代後の政府の混迷があり、政治が何をしているのかという国民の目線が一層厳しくなる中で、地方議会もどの様に運営する事が結果として市民の為になるかと常に考えて改善するべきであり、歴史と伝統に裏付けされているとは云え、慣例だからと思考停止する事は厳に避けなければならない。
 とはいえ現在の運営方式は過去の先人達の試行錯誤によって得られた結果で有ることなので尊重する事は重要であり、何故そのようになったのか考えを巡らさねばならないし、また現在の制度を前提に様々なスケジュールが構成されている以上、改革は多くの障害を伴うことも明かである。
 その様な前提状況を把握しつつも、一旦白紙に戻って検討すべき事を帰路の新幹線の中で色々と考えていたので、思いつくままに羅列してみたい。
 
@ 三無い議会からの脱却
 採決結果を明らかにしない・議員による政策条例の提案が無い・議案の修正否決が無い、という状況は議案作成以前での議会からの意見が反映されたりしているという事情が解らない市民には議会無用論の温床に成っている。少なくとも賛否公開は進めるべきであろう。
 
A 議会開催期間の検討
 年4回の会期を通年に変えることで必要に応じて会議を開催でき、専決処分の回数を極力減らす事も可能となり、また議会の議決を必要とする巨額の契約もスムーズに進むと思われる。閉会中も歳費を受けている事に対する一部の疑念も解消できる。
 
B 議会全員協議会での協議
 現在は単なる報告の場に成っている協議会を、真に協議を行う場として活性化させる必要がある。問題はその場を取り仕切る議長が上手く交通整理しないと冗長で中身のない会議に成る可能性がある事である。
 
C 予算委員会の在り方
 年度途中の補正予算を常任委員会に付託するので有れば、当初予算も常任委員会負託として各委員会2日程度の審議時間を設け、さらに負託前に総括的事項を審議すると供に委員会審議後に議員全員による最終議論を行うことで議論は深まるだろう。
 
D 決算委員会の在り方
 決算は9月議会中に認定する必要が無いので、9月に議員の半数から成る決算行政監視特別委員会を設置し、各部局事に時間をかけ事業仕分け的に審議を進めるべきと思う。
 
E 基本的な在り方の明文化
 自治基本条例・議会基本条例の制定を検討する中で、市民・行政・議会等のそれぞれの責務を明らかにする事も必要と思うが、それが絵に描いた餅として終わらせない制度設計がより重要と思われる。
 
F 常任委員会の分担
 長年同じ常任委員会に属することの功罪を考えた場合と、仮に議員定数が削減された場合の各委員会での充分な審議を考えると複数委員会所属制度を検討すべきかも知れない。
 
G 政策決定過程での関与
 上位法の改正に伴う条例の一部改正や市道認定・人事案件等を除けば、議案を審議上程される前に、特に当初予算などは協議案として上程して議会が意見を述べる場を設けるべきであると思う。
 
H 議会のペーパレス化
 とかく膨大な紙資料は資源や空間の無駄と云うだけでなく、必要な頁や語句・引用もとの検索等の点で電子媒体に遅れを取っている。試験的にペーパレスへの取組も始めてみるべきではと思う。
 
I 議員研修の定例化
 様々な制度が日々変わる中で、此処の議員と供に全体の資質を高めていくことは議論の深化には極めて重要である。同期による研修や会派による研修、最近では議員会での研修も始まり木更津市議会は良い傾向にあるが、各常任委員会による講師講演のような制度も考えて行くべきではないかと思う。
 
J 政治倫理条例の制定(追加)
 本市でも平成22年8月9日に倫理規定を制定しているが、それは紳士規定であり、違反したときの対応や市民からの調査要望に答える規定を設けていない。不祥事が起きてから制定している自治体が多いようだが、何も起きない内に自らを律する姿勢も大事である。
 
 取り敢えず11点ほどの私的な感覚である。冒頭にも書いたように議会の運営が高度に行えることは市の事業に対する高度な関与が行えることに繋がり、それにより市民福利が向上すると考えてのことである。一度に出来ない事ばかりであるが、常にカイゼン運動に取り組もうと、記載させていただいた。
 
 ※11点目を20日に加筆させていただいた。