初音ミク現象に思う
2012/02/16記
 2月4日の夕方にNHKを何となく見ていると『週刊ニュース深読み』という番組で「由紀さおり」と「初音ミク」が欧米で大ヒットしている事を伝えていた。
 由紀さおりは往年の名曲が優しく響くと言うことの説明であったが、もう一方の初音ミクはネットによる効果を取り上げていたのでその事に興味が生じ、少し調べることにした。
 
 ※ 今回のリンク先は全て『YouTube』です。
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 「初音ミク」がニコニコ動画を中心に盛り上がっている事は数年前から耳にしていたが、一部のコアなマニアの間だけの事だと私は思っていた。それが、昨年末からGoogle ChromeのCMに示されたように、様々な人達がそれぞれの得意な領域で参加することにより大きく世界が広がって、クオリティも高くなっていると認識を改めている所でのニュース番組だったのである。
 
 元々は声優「藤田咲」の声で歌を自由に作れる音楽作成ソフトの名前が「初音ミク」で、2007年8月31日に札幌のクリプトン・フューチャー・メディア株式会社より発売されたものである。基本ソフトはヤマハが造った「VOCALOID2」なのだが、「初音ミク」という製作会社がイメージしたキャラクターを割り当てた事と、そのキャラクター画像についても概ね自由に使用が認められた結果、歌声の利用だけでなくキャラクターを用いた創作活動も促進されてブームが広がったのである。
 従って、ソフトによって音楽を造るだけでなく、イラストや3D映像を造る人々が増え、ネットで造られたバーチャルアイドルが本物のバックバンドの生演奏を従えてZepp Tokyoやロサンゼルスでソロコンサートが行われたり(参考)、トヨタがアメリカで流しているCMでは主役の座に採用されたり(参考)、札幌の雪祭りでは毎年雪像(写真は2010年の作品)が造られるなど、少数の世界の話ではないようだ。
 幾つかの楽曲を聴いてみたが、個人的にも素晴らしいと思える作品も多い(例@ A B)。著作権を元に公開を制限する昨今の音楽事情と真逆の開放感も何とも素晴らしい。
 
 多くの個人が自由に参加して、よりよい作品、世界を作り上げていくことの素晴らしさが『初音ミク』現象の中に見える。政治や行政の世界でも、才能のある個人が得意な分野で自由に参加出来る制度を確立することが出来るのでは無いかと期待させられる。現在のパブリックコメント制度をそのように出来ないものかと思いながら、毎日のように初音ミクの楽曲をパソコンで流す日々を送っているのであった。