インフレや円高を考える
2012/02/21記
 2月14日の報道で日銀は望ましい物価水準として、消費者物価指数の前年比上昇率で「2%以下のプラスの領域で、当面は1%を目途」とする事が伝えられた。それと同時に国債買い入れなどを行う現行55兆円の基金に10兆円を増額するという、追加の金融緩和策も決定したようだ。欧州危機により世界経済が減速して、日本経済にも悪影響が及ぶ予想から、追加緩和を行ったというのが理由のようだ。
 
 経済問題は複雑で難しく、私のような者が口を挟むべき問題ではないが、関連して思ったことを記載したい。
 
 現在、日本の物価がデノミ基調にあることは周知のことだが、木更津に住んでいると、特に地価でその傾向の著しさを感じる。路線価ではバブル期の97%offという劇的な値下がりが起きた結果、市内の飲食店まで比較的安価になったように思う。
 また、ヤマダ電機とかジョイフル本田とかのように数多くの大型量販店が地域に進出した結果、そこに行ける消費者にとっては安価な上に商品選択の余地も広がったが、その一方で既存市街の商店が倒産し、交通弱者には買い物の自由が失われることに成っている。
 そもそもメーカーも激しい開発競争や海外との価格競争にさらされ、パソコンや携帯はスペックが上がりながら価格は上がることが無く、中学生の頃に購入したラジカセより遙かに高性能なCDラジカセが当時より安く購入できる状況である。
 
 私が初任給を貰った25年前頃のラーメンは400円程度だったと思うから、食品は1.5倍程度に上がっているかも知れないが、他の多くの項目は値上がりしている感じが無い。従って、企業の正社員に成りさえすれば今の若者の方が経済的には豊かと思えるのであるが、スキーを楽しんだり車を購入したりという消費娯楽に熱を上げる元気な者の比率が劇的に減っているのは、バブル崩壊後に成長する中で将来の不安感に浸かっているのかも知れない。
 
 その様な中で、物価が毎年少しづつ上がるインフレの世界は、将来に希望を与えて消費を増やすことに繋がるのであろうか。活発な経済活動が起きて雇用が増えて、バブル期とまでは言わなくても国民が明日はより豊かになると前向きに働き始めるのだろうか。
 
 ハッキリしている事は国債の利率より物価上昇率が高ければ、実体上の国の借金は目減りする事だ。日本国の借金の多くは円建てだから物価上昇が激しいほど目減りすることになり、一時期は政策インフレによって国の借金を減らそうと云う経済学者も居たように記憶している。
 しかし、この場合貯蓄を切り崩して生活している高齢者の資産も目減りを続けることになるとともに経済が大きく混乱するという深刻な問題が発生するので慎重な日銀はアメリカの半分程度の1%を目的にしているのだろう。
 
 個人的には政府が現在円高対策として介入している規模をアメリカのように紙幣を印刷するという禁断の手法を浸かって増やし、円高の内にドルを買い貯め、円の刷りすぎよる暴落後に再度円に戻せば借金も減るのに、と思うのである。
 例えば1ドル80円の時に80兆円ほどドルを買えば手元に1兆ドルが残り、それを1ドル130円の時に円に戻せば130兆円になり、50兆円ほど借金を減らせる。もちろん巨額な資金が動くことで為替が影響を受けるが、最近は市場の資金も大きすぎて政府の資金程度で簡単に思うように成らないことは今回の円高で証明されてしまっている。
 
 輸出企業が赤字になる中でも、案外政府や官僚は円高が好きなのではと思う事がある。世界中から原油や天然ガスなどのエネルギー調達が容易であり、震災後の日本で円が暴落したら激しい物価上昇で、例えばガソリンが200円を超えるような事態になり、復旧も大変だったろうと考えると、新聞や輸出関連企業を欺き、政府が無能なふりをしながら政策円高を維持しているのかもしれない・・・・と疑えばきりが無い。
 
 ともかく今回は議会質問の原稿作成に飽きて、こんな事を書き殴っていただけである。