津波と防波堤を考える
2012/03/04記
 3月1日の千葉日報を読んでいると、国土交通省が大規模地震による最大級の津波が、太平洋岸の主要港に与える影響のシュミレーションを29日に発表したという記事が載っていた。
 前日のテレビ報道で目にしていたが数値を控えることが出来なかったので、その記事をじっくりと読んだ。因みにそのシュミレーション結果が下表である(堤防余裕高はこちらで作成)。
 
No 港湾名 所在地 現防波堤高 最大津波高 防波堤余裕
1 木更津 千葉県 1.8 2.6 -0.8
2 東京 東京都 2.8 2.1 0.7
3 川崎 神奈川県 2.9 2.2 0.7
4 横浜 神奈川県 3.0 2.1 0.9
5 清水 静岡県 3.7 5.6 -1.9
6 三河 愛知県 3.1 2.2 0.9
7 名古屋 愛知県 3.6 2.7 0.9
8 四日市 三重県 3.6 2.9 0.7
9 大阪 大阪府 4.7 3.0 1.7
10 神戸 兵庫県 3.5 2.1 1.4
11 和歌山下津 和歌山県 4.6 6.7 -2.1
12 日高 和歌山県 6.3 10.1 -3.8
13 徳島小松島 徳島県 2.4 3.6 -1.2
14 高知 高知県 4.9 11.9 -7.0
15 宿毛湾 高知県 3.2 4.8 -1.6
16 大分 大分県 3.4 2.7 0.7
17 細島 宮崎県 7.0 6.1 0.9
18 宮崎 宮崎県 5.7 6.8 -1.1
19 志布志 鹿児島県 6.6 4.6 2.0
 東側から順に並んでいるので木更津が筆頭なのであるが、表のトップに木更津の堤防が予想される最大津波より80cmも低く危険である事が示されているのはショックである。
 しかし、まだ中央防災会議が東京湾における津波高さを発表していない中で国土交通省の唐突な発表が気になった。
 
 早速、国土交通省のHPを調べると2月29日に行われた交通政策審議会の港湾分科会における防災部会で発表したものが報道を通して流れ回ったものだという事が解った。従って今回の値が政府の公式見解というわけでは無いことになるのであるが、何れにしろ今まで想定していない東京湾の津波について言及したことは画期的なことである。
 
 市役所の都市整備部に聞いても、この最大津波の想定地点や堤防の高さが何処を示しているかという情報がもたらされておらず、今後調査をしてもらうことになった。
 
 さて、木更津市における海岸の管理者は、江川漁港以南は「重要港湾木更津港」として国交省が管理し、それ以外は木更津市経済部が管理する金田の漁港部分を除き千葉県が管理責任者である。しかし津波発生時に置いて、堤防のどこかが低ければそこから容赦なく海水が流れ込むことになるので、全ての管理者が足並みを揃えて強化対策に取り組まねば成らないものである。
 
 伝え聞くところによると、陸上自衛隊木更津駐屯地は今回の震災を教訓に海岸側に高さ3mの防波堤を施工する予算を請求したようだ。しかし、そこが津波を防いでも吾妻の正門側や江川の海上自衛隊側から進入してきては肝心のヘリコプター部隊を守ることが出来ず、災害の役に立つことが出来なくなってしまう。
 小櫃川の堤防も含め、何処が低いのか海に面した部分の全てを把握する作業と、その対策の立案が早急に必要だな、と思いながら、地盤の高さが1m程度しかない事務所でHPを更新しているのである。