金田の道路工事に思う
2012/03/07記
 三井アウトレットパーク木更津開業まで残り一月あまりとなり、看板の設置も行われた。オープンセールでは大変な人手が予測されることから、それまでに道路網と仮設駐車場の完成が至上命題となっており、年が変わってから金田の中では慌ただしく工事が進められている。
 日程が厳しくなる中で意地悪な雨が続き、現場では舗装用の採石を入れる深さまで掘り進んだ所に水が溜まり、作業環境が悪い中でも黙々と仕事が進んでいる景色を見ることになる(写真は3月3日撮影)。
 
 技術者としては路床の含水率が下がる時間的余裕が無く下層路盤を敷きならしているようなので、設計CBRを満たしているのか、路床出来高確認検査は行えているのか等、様々なことが気になって仕方ないが、都市再生機構の行っている工事まで口を挟む権限が無いので取り敢えず黙ってはいる。
 ただ、近い内に市道として移管を受けざるを得ないと思うが、せめて通常2年である舗装の瑕疵担保も、移管後の5年間程度は保証して貰うようにしないと、木更津市による舗装打換えが遠くない未来に起こりそうな気がして仕方ないのである。
 
 実は、道路網の工事がとても間に合わないのでは、と思っていたのであるが、NEXCO東日本は旧道路公団時代の施工速度を維持しているようで、料金所を出た後の左折専用レーンはあまり問題なく間に合いそうであり、それに続く市施工の市道拡幅も何とか間に合いそうだ。
 
 そんな工事の中で、どうしても計画レベルで解せないことが、現場に有る「事故ゼロプラン進行中!!」と書かれた看板である。
 
 
 この看板の何が解せないのかというと、改良後にも係わらず、アクアライン連絡道の下の中野畑沢線は都市計画で決められた完成型で作られるのではなく、歩道は片方のみで、車道も前後から見ると中心線がずれたものとして作ろうとしているのだ。
 と、言葉で書いても解りにくいので上の看板の右下部分をアップした下図を見ていただきたい。
 
 木更津方面から海岸側の歩道を歩いてきた人、及び歩道通行可である所を走ってきた自転車は、ここで突然行く手を阻まれ、車道の路肩を怯えながら渡るか、小学校辺りまで戻って反対に渡り、高架橋を潜った後に再度道路を渡る事になるのである。
 
 その歩行者・自転車軽視の姿勢も解せない部分であるが、もう1点は、この完成型でない形状で工事を進めていることである。小櫃川にもう1本の側道用の橋が架からない限り形式を変更するつもりは無いのかも知れないが、将来的には完成断面にせざるを得ないので有れば、現在の交通量が少ない時期に完成型で作り、それを仮設物で規制する方が、トータルコストは安いと思うのだ。
 延長が長い場合は暫定断面で初期投資を下げることは選択肢として有るだろうが、ここは高架橋と交差する部分という短さであり、これだけの所を作っては壊し、また作るというのは無駄な公共事業の典型のように思えて仕方ないのである。
 当該区間は将来も国土交通省が担当するようなので本市の財政が痛むという訳では無いが、問題が発生して工事を行うことに成った場合は交通規制による渋滞や安全性の低下などで住民に迷惑を及ぼすことになるのは明かである。
 
 もちろん、この形状にしたのは国土交通省の独断ではなく、警察が交差点協議で指示してきた事だと、私の経験上で想像できる。警察は多くの場合適切な指摘をするが、時々理解できない事を言う事も知っている。これでよいのか、と協議の中で誰かが思ったのであろうが、結果的にこうなってしまった事が残念である。
 戦場のような混乱した工事現場で見た数多くの気になることを抱えて、およそ一ヶ月後の街びらきを迎えることになるのだろう、と思いつつ今回の記事を記載するのである。