公務員給与を考える | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2012/03/17記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
昨日で議会の委員会審議が終わり、19日の月曜日には基地対策特別委員会が開催されたりするが、基本的には23日の最終日の採決を待つばかりである。 そんな落ち着いた気分で今朝の新聞を読むと、千葉日報の1面が『地方公務員給与調査:本県、全国4位の高水準』であった。昨日に総務省が発表したと言うことなので、早速調べてみた。 総務省の『地方公務員の給与水準』という頁から関連する資料を調べてみると、国家公務員を100としたラスパイレス指数の全国平均は98.9で、平成16年から8年連続で100を下回っているが、19の都県では100を上回っており、千葉県は47都道府県中全国4位という給与を支払っていたようだ(上位団体を転記)。 |
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次に木更津市も含まれる指定都市及び中核市を除く市区町村(全1,677団体)のラスパイレス指数の状況を見ると下表の通りであり、福島市と芦屋市を除くと首都圏の自治体が高い支給を行っている事が解る(同様に上位団体を転記)。 |
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全国1,677団体の上位12団体に木更津市が境界を接する三市(市原市・袖ケ浦市・君津市)が全て入っていた。これは近隣市と比較されて多い、少ないという前に、そもそも近隣市に問題があるだろうと言いたくなってしまう。 今回の総務委員会での審議でも、本給が40万円の副主管の場合を想定すると現在でも君津市より3万1140円低いことが報告された。しかし君津市はラスパイレス指数が全国4位で、地域手当の補正を行うと112.4になってダントツ全国1位という、支払いすぎの自治体であり、そこと比較することは問題が有る。 ちなみに木更津市の補正前の指数は100.6で、全国173位であり、富津市の99.1、全国388位より多いのである。 今回の地域手当の案件は既に国家公務員より高い木更津市の給与に3%を乗せて、補正後の値を103.6にするものである。そのため、取り敢えず来年度は支給を見送るよう、要望書を提出した事を前に記載したが、組合の反論ビラをその後に入手した。 組合としては@関東の類似団体で木更津だけが支給率0%に指定されているのが不自然であること、A財政の厳しい状態であっても経常収支比率は改善していること、B人件費率は過去最小になるほど協力してきたこと、C木更津市で勤務する国家公務員は前任地の支給率を経過的に受けられることとの措置で支給を受けているものが居ること、などの理由を挙げていた。 確かに県内の人口10万人を超える自治体で国の支給率が0%なのは本市だけである。しかし一方で、県内の自治体で国の支給率が0%でも支給をしている市は我が市と君津市・富里市だけで、他の10市は支給していないのも事実である。 問題は、国が支給を認めていないにも係わらず、独自支給していると特別交付税でペナルティを課している「疑い」があることである。日経グローカルという雑誌のNo130号(2009年8月17日)によると、2006年から2008年(平成18年から20年)で地域手当の超過支給を行った自治体に対し、次のような減額(単位はどちらも百万円)が行われている「ようだ」(上位団体を転記)。 |
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「疑い」とか「ようだ」と記載するのは、本市の財務当局は削減額を把握することが出来ずにいるからである。天下の日本経済新聞社が捏造記事を作るとは思えず、また本市の超過支給額も正確なので記事の内容は確かだと思われる。つまり3年間で1億5千万円を超える交付税を得ることが出来なかったと考えられるのである。 全国で170市町村が減額されたと記事にあるが、これも大都市近郊が多い。東京や大阪、名古屋に比べ国基準が低く抑えられている自治体が、周辺との調和のために手当を高くしてしまう事が原因だろう。ちなみに払いすぎである君津市は税収が豊富にある不交付団体なので特別交付税を受け取っておらず、超過支給による減額も存在しない。 木更津市の職員が財政再建に協力していただき、数年に渡って低い手当に我慢してもらっていることは事実であり、昨年の3月議会でも『職員組合との協議経過は尊重せねばならないことは承知しております。本則の5%に戻すのではなく、3%で今回は我慢したということに対して、私も高く評価はしています。また、本市が国の基準としまして0%、隣の君津市も0%ですが、袖ケ浦市が12%、富津市が10%ということで、この4市の中で、果たして袖ケ浦市、富津市が我々より1割以上物価が高く、向こうは1割余分に払って妥当だけど、こちらは払ったら妥当じゃないというところに対する矛盾も非常に感じています。またもう一つ、隣の袖ケ浦市、君津市については現在8%の支給、富津市については4%の支給ということで、本市の職員が相対的に給与が低くなっているということも事実です。私も2002年に四市合併署名運動の事務局をやっていて、職員と協議をいろいろさせていただいた経験上、本市の職員はやはりこの地域の筆頭市として、大分勉強されており、他市の模範となるよう一生懸命やられていることもよくわかっております。そのような市の職員が近隣市より給与が低いということに対して、感情的に納得できない部分も当然ございます。(一部略有り)』と私が答えている気持ちは今も変わっていない。しかし、条例を定める議員の立場として考えれば、私の結論は自ずと明らかになってしまうのである。 4月から国家公務員給与の7.8%削減が地方に及ぼす心理的な効果など、経済悪化と民間給与の低下傾向の中で、この後も公務員給与を巡る空気は厳しいものが続くだろうと思う。 本来で有れば仕事が出来る人を適切に昇格させ本給を上げて評価し地域手当を無くす方向で考えることが望ましいという、委員会で三上議員が発言された意見は極めて正論と思われる。そのような能力評価制と、限られた幹部職員への適切な管理職手当の支給など、今後も考えて行くべき問題は多い。 ※18日朝に加筆を行った。 |