決められる政治を考える
2012/06/30記
 野田総理を始めとする民主党執行部が消費税増税法案の今国会中の可決に政治生命を掛けると言い、26日には自民党・公明党の賛成を得て、衆議院を通過することになった。
 採決では民主党から57名の造反者が出て、さらに参議院に進む前に分裂して新党が誕生するような話も報道されている。そうなると民主党政権は少数与党の不安定政権となり、解散総選挙が近いという 話が現実性を帯びてきた。
 
 ただ、現在の選挙制度のままでは一票の格差が憲法違反と判断されていることを解消せずに解散する事は立法府の不作為による選挙無効判断が出される可能性も有るし、今回の税制改革は「社会保障と税の一体改革」で有ったはずなのに「社会保障の協議」が先送りされている感は否めない。何より国家公務員改革に至っては、その道筋はおろか、糸口すら見えていない状況にあると思えて成らない。
 解散前にやるべき事はやるべきとは思うが、歴史的な政権交代から2年9ヵ月の年月が経ち、総理大臣が3人目となっても出来ないことが、今後直ぐに出来るなんて無理だと国民は白けてしまい、強烈な政治不信と無関心が世間を覆っているようだ。
 
 3年前は自民党政権に切り込む民主党の若手議員の姿が新鮮で、大いに期待を抱かせていたものが裏切られ、今は民主党に切り込む自民党の若手の姿も僅かしか見られず、国民の間には既存政党ではない、強力に決められる政治が渇望されている。
 その代表的な存在になっているのが、橋下大阪市長が率いる「平成維新の会」で、大阪府や大阪市で既得権益に切り込んでいく姿に感動を覚える人も多いだろう。
 
 橋下市長ほどでは無くとも、先進自治体といわれる所には名物首長がおり、そのリーダーシップにおいて多くの改革を推進している事は、行政視察で他市を見て気付く事である。そのような先進自治体の成功例を見習いながら多くの自治体が後を付いていくことで、日本の地方自治全体の底上げが為されていくとしたら、名物首長の存在を許す地方の多様化を尊重するべきで、地方分権を押し進めることが重要だと思う。
 
 地方自体の長は直接選挙によって選ばれ、議会のバランスに左右される事が少ない点が総理大臣と異なる点で、そのために首相公選制を言うものは多い。さらに「ねじれ」という不安定要素を払拭するために参院を廃止して一院制にすることが良い、という議論も耳にする。
 私も国家が決断する力を持つことには賛成であるが、それによって国家集権が進むのではなく、逆に地域の多様化を認める方向に進む事を望んでいる。その結果、多くの自治体で失敗することもあるだろうが、国家公務員の常識では考えられないような成功事例も数多く現れ、確実に成長していくと思われるからである。
 
 今の民主党のように国のことが決められないなら、せめて地方に自由度を増やすような権限と財源を回し、そちらで決める権限を与えて欲しいと思うのだが、考えてみればそれすら決断できない状況に現在はあるのだと、空白が続く日本の政治状況を木更津という地方都市で考えていた。