アクアビルで調査する
2012/08/28記
 最近の木更津市議会で大きな話題となっていることは市役所新庁舎の整備と、それまでの間の仮庁舎の建設についてである。
 
 22日に開催された市庁舎整備特別委員会に示された仮庁舎に関する執行部の推薦案は、前の木更津警察所跡地の駐車場に6億円を投じてプレハブの仮庁舎を建設する案であったが、多くの議員が質問の前提とした考え方は投資を少なくするため、民間ビルの活用を図ることであった。
 その日の質疑の中では、駅前のアクアビルを賃貸する場合、借地料は坪月あたり5千円で、約2500[u]の面積がある一つのフロアーを貸し切った場合は4500[万円/年]必要になるという事であった。また、入居にあたり一つのフロアーを1億45百万円掛けて改修する必要があるという見積もりであったため、プレハブによる仮庁舎と民間ビルの使用が大きなコスト差が無く、駐車場の不足などの弊害を考えると駅前は望ましくないという市の結論も説得力があるものであった。
 
 しかし、どうもアクアビルの借地料や改装費が腑に落ちない。
 
 そんな中で、アクアビルを管理する『金剛山』の関口社長と意見交換する場を設けることが出来、会派に声を掛けて都合の付かなかった斉藤議員を除く5名で調査に出かけた。
 
 先日の特別委員会で説明があったように、アクアビルは現在3F,4Fと7F,8Fが空いており、7Fの一部を使って金剛山の事務所が設けられている。そこの会議室でお話を聞き、さらに現地を見て回って得た情報や私の感想を列挙すると次のようになる。
 
 @賃料5000[円/坪月]というのは商業用の小区画を貸与する場合の一般的な価格で、その場合は通路などの共用部分を含めた単価設定となっている。一方、仮にフロアーを丸ごと貸すことに成れば共用部分を設定する必要がないので数割程度単価を下げることは可能である。
 A市役所のように公共性があり、集客力の確実な施設は別の階にある商業施設への好影響が期待でき、テナントの希望も見込めるため、賃貸条件はさらに優遇されることが可能となる。
 B現在、市に固定資産税として年額6千万円を支払っている事を考えると、賃料はそれと相殺される形になり、見かけ上は新しい事業費を必要としないという解釈もできる。
 C現在7Fに有る金剛山の事務所と清掃の控え室は必要に応じて移動出来る。4Fに設置された完全防音のスタジオは前経営者が費用を投じた施設なので存続を前提としたい。従って完全に市役所だけで使用できるフロアーは3F,7F,8Fとなる。
 D各階の空調は仮庁舎として使用するのに大きな支障は無さそうである。7Fの金剛山事務室(約100u)を作るために必要なパーティションは50万円で済んだので、事務室用に必要な間仕切りは、華美な材料を使わない限りフロアー(2,498u)あたりでは約1千万円、照明設備を若干変更しても3千万円程度で収まると思われ、市の算出した改修費約1億45百万円は過大と思われる。
 E間仕切りの施工や照明の交換などは3ヶ月も有れば終わるので、直ぐに結論を得られれば来年当初からの入居も可能になる。少なくとも仮設庁舎を建設するより遙かに早い。
 F停電に対応できるような非常用発電設は設定されていないので何らかの対応が必要だが、それは仮設庁舎も一緒である。
 G近くに市営の立体駐車場が有るが、職員の需要を考えると、近隣の民間駐車場を含め、充分に満足できるかは若干の疑問がある。そのかわり、旧警察署や現市役所の駐車場の需要が落ちるので、そこから徒歩で通勤という選択は考えられる。
 
 以上より、10年を超えて長期に使用する場合は、プレハブによる仮設事務所でも経済効果が発揮できると思われるが、それより短い期間では圧倒的にアクアビルの賃貸の方が少ない事業費で収まることが可能となり、さらに駅前の活性化も図れることが、本日の調査の範囲では解った。
 契約行為の段階では詳細を詰める必要があるだろうが、より深い検討を行わないと市民の理解が得られないだろうと、調査後の昼食を執りながら会派の間で意見が交わされ、積極的にHPで調査結果を公表すべきと言う意見になったので、ここに記載する。