電子書籍に思う
2012/10/26記
 本日から市内の多くの公民館で文化祭が開始された。5日前はアクアラインマラソンが開催され「スポーツの秋」だったが、今日からは「芸術の秋」となり、地域の文化人の作品に感動を覚えることになる。右は岩根西公民館で撮影した、房総が誇る「太巻き寿司」である。見た目も綺麗だが味も良かった。「食欲の秋」でもある。
 
 さて「読書の秋」とも言うように、明日の27日(土)から来月9日(金)まで、文化の日を中心に2週間が第66回読書週間である。これは社団法人読書推進運動協議会が8月に発表したもので、すっかり恒例になっているイベントである。
 そんな期間が始まる前の24日にアマゾンが電子書籍リーダー『Kindle』シリーズの日本発売を正式発表した。早い物は11月19日から発売が予定されており、既にアマゾンでは予約販売が開始されているようだ。国内ではソニーを筆頭に既に多くの電子書籍リーダーが販売されているが、世界で最も普及している機械の日本上陸により、サービスや価格の競争が激化すると共に、刊行点数の増加が見込まれると報道されていた。
 
 私も最近は読書のペースが落ちているが、それでも毎月数冊、年間で数十冊の本が増えることで苦悩している。書棚が足りなくならぬよう、一部の良書は会派室に持っていき他の議員に勧め、価値の薄い本は古本として処分している。購入せずに図書館で借りれば本が増えることもないが、それでは作者に印税が入らず、作品を執筆したことに対する感謝が示せないと考え、基本的には購入しているのである。
 その点、電子書籍なら著者への適正な報酬も払われるし、本が溜まるという収納の問題も解決できる。その上、常に数多くの書物を携帯しているのと同じ状況になるので、いつでも読み返すことが可能になると言う利点がある。さらには出版や運搬という課程を省略するので環境に優しい上に単価も安くなり財布にも優しい。
 
 と、電子書籍の利点は解っているのであるが、個人的には購入したいと思ったことがない。というより電子書籍が普及することで書店が減ることに憂慮しているのである。
 本との出合は新聞の書評や人の噂を元に購入するのではなく、本屋の棚を見て歩いているときに、タイトルや帯に引かれて立ち読みして、衝動的に買うことを幸せだと思っている。それにより普段は頭の片隅で気になっていたことが氷解する事もあるし、新たな地平が広がることもある。だから本屋が減ることは辛いのである。
 
 高校生の頃、木更津駅の東口には松田屋、多田屋、ブックセンターの3店が1区画の中に揃い、本屋を覗いて歩くのが楽しかった記憶がある。現在も続いているのは多田屋だけで、他の書店が辞めていくときは木更津から文化が失われていくようで辛かったし、最近ではアクアビルの地下に多田屋が良い品揃えで店を構えてくれたのに、短い期間で撤退してしまったときには『支えきれなかったか』と悔やんだ物である。
 そんな訳で、今後も本屋に通い、購入という手法を通じて文化の維持に励もうと、電子書籍のニュースを聞きながら思ったところである。