新政権の公共事業を思う
2012/12/30記
 自民党の圧勝で終わった衆議院選挙を経て自公連立政権による組閣がなされ、年末ギリギリになって政府が立ち上がった。省庁は年末年始休暇を返上して次年度予算と補正予算を編成すると報道が伝えていたので、多分、今夜も霞が関界隈では窓の明かりが煌々と灯り、夜食のカップ麺でも食べるために電気ポットで湯が沸かされていることだろう。
 
 今回の連立政権は、10年間で200兆円の公共投資を行い、東日本大震災の復興や災害対策を行うとする「国土強靱化」を目指す自民党と、10年間で100兆円を投じ、インフラ整備と景気対策を行おうとする「防災・減災ニューディール」の公明党による政権のため、『コンクリートから人へ』という民主党の時代と大きく梶が切られるだろうと思う人は多い。
 本日の読売新聞でも、自民党政権に不安を感じることの項目として「無駄な公共事業が増える」と感じている人が38%もあり、「原子力発電の利用を続ける」の30%を抑えてトップであった。確かに民主党への政権交代がされる前には田舎の高規格道路や地方都市の箱ものなど、公共事業に批判が集まっていたことも事実である。
 
 新たな箱ものや新規の道路が増え、その一方でインフラの劣化が進んでいる原因として、国が新設に対する補助が手厚いことに対し、維持や更新に対する補助が少ないことを上げる者は多い。
 確かに制度の上ではその通りであるが、維持管理に対する意識の低さも原因と思われる。メンテナンスを他の組織に比べ丁寧に行っているハズの高速道路会社でもトンネル内のコンクリート板が崩落したりするぐらいだから、地方都市のインフラなど、何処まで劣化が進んでいる物が放置されているのか心配である。
 ちなみに木更津市の橋梁に関しては「長寿命化計画」の策定のため技術者による点検を行い、その結果として12月の補正予算で緊急に2箇所の橋を更新することになった。維持管理の意識が低いままであったら、遠くない時期に落橋の事故が起きていたかも知れない。
 まずは公共事業と斜に構えて見るのではなく、笹子トンネルのように劣化が進んでいる物への適切な対応が必要だという世論をマスコミも作っていただけると助かると思っている。
 
 今回の震災では人口が希釈な場所で効果が疑問視されていた「三陸自動車道」が重宝され、紀伊半島などで高速道路が未整備の区間についても早期に建設されることに成ると思われる。それはそれで確かに必要だと思うが、「国土強靱化」と「ニューディール」のためにも劣化が進んでいる地方自治体管理のインフラ補修に対する補助率を高め、更新を促進する政策をとっていただけない物かと思っている。
 特に地方自治体が発注し、その地域の建設業者が受注する仕事を出し続けることは景気の高揚だけでなく防災上も有効な政策と私は思っている。確かに地方の業者は、大手ゼネコンに比べ技術力や価格面では劣性であるが、災害発生時に機械と作業員がそこに居るという状況の維持は忘れては成らない。
 その様な意味では、今月26日まで入札を受け付け、28日から来年の1月9日まで電子入札を受け付ける「真舟小学校建設工事(建築)」は(機械設備)や(電気設備)のように条件を市内・準市内としなかったため、全国の200近い業者による応札が行われる事になるので、安価になることは間違えないだろうが、その業者は今後の木更津市の災害に対し、全く協力できない者に成る可能性が高いのである。予定価格18億3千万円強なので多くの業者に門戸を開くことも仕方ないとは思えるが、最低価格が未公表の中で不自然な結果にならない事を願うばかりであるが、それは今回の話から逸脱するのでここまでとする。
 
 省庁の技官が使うのではなく、地方自治体に金を回し、細かいことを議論できる自治体の議会を経て決定されるインフラの更新に予算を回すことが、国家公務員の抑制を図りながら国土の強靱化を行えるのではないか、そう思いながら新しい政権に期待を抱いているのである。