マカオでカジノを考える
2013/05/27記
 本年3月に実施された千葉県知事選挙において、森田健作候補が目指すと表明していたのが、カジノ施設「統合リゾート(IR)」の誘致であった。選挙での再選後に県庁内に統合リゾート誘致に向けたプロジェクトチームを立ち上げた結果、千葉県は今月18日に、成田空港周辺に建設した場合の採算性や経済効果について、5年で計1兆円超の経済波及効果があるという予想を発表した。
 具体的には、成田空港を拠点に海外からの誘致を行うという前提で、航空法による建物の高さ制限を受ける空港隣接地に建設する[A案]と空港から一定の距離を置き大規模な施設を建設する[B案]が示された。
 [A案]では施設は小・中規模に成るが、アクセスの良さでアジアの富裕層を集める計画で、施設の延べ床面積は30万平方メートルで、建設費は2000億円、来場者数は国内から173万人、海外から137万人、2万人の雇用が生じ、5年間の経済波及効果は1兆1175億円が見込まれるようだ。
 [B案]では空港から離れるが、航空法の制限を受けないことで海外のカジノ並みの高層ビルが建てられる。シンガポールやマカオのようなショッピングモールや娯楽施設などの複合施設の延べ床面積は50万平方メートルで、建設費は3600億円、来場者数は国内から243万人、海外から130万人、2万8千人の雇用が生じ、5年間の経済波及効果は1兆4596億円が見込まれるようだ。両案ともに初年度からの黒字を想定している。
 [A案]の候補地となる空港近くの市町からは採算性や風紀の問題を指摘しているようだが、[B案]の候補地となる千葉市は本年の1月30日に超党派の市議22人により「千葉市議会IR(統合リゾート)議員連盟」(森茂樹会長)を結成するなど前向きである。アクアラインの海ほたるや金田開発を念頭に、我が木更津市でも誘致を検討する向きも有ったが、候補地の決定まではもう少し時間が掛かりそうであるし、何より法律の壁も突破せねばならない。
 
 その様に「統合リゾート(IR)」が話題になる中で、世界の状況を私が見ていないことが気になったが、木更津市は海外視察を原則として自粛しているので、個人的な旅行でマカオを見てきた。
 住民に直接感想を聞いて回ったわけではないので、訪問者の視点で見た感想となるが、埋め立て開発地区には数多くの巨大なビルが建ち並び多くの雇用が発生し、潤沢な税金(予想)を元に街並みは綺麗であり、治安維持に気を配るような危険な気配もなく、マカオは成功事例であると考えられる。
 カジノは入口でチェックを受けるような事もなかった。木更津のエフケイバ木更津の方がガードは堅い。ギャンブルなので、住民の中には財産を失ってしまったものや家庭崩壊した事例があるかもしれないが、日本のパチンコ産業に比べれば賭のレートが遙かに高いので敷居が高く、住民が依存症になる事を結果として防いでいるのではと思われた。
 私の入ったギャラクシ−では、巨大な空間に沢山の人が楽しんでおり、このような場所が木更津より狭いマカオ市内に何ヶ所もあるという事が、どれほどの集客力なのかと考えさせられる。ちなみにマカオの面積は約28.6kuで人口は約56万人である。
 さらには市内には世界遺産に指定された古い街並みと、「フィッシャマンズワーフ」や「マカオタワー」のような新しい娯楽施設が融合して存在し、路地にも高級宝飾店や高級飲食店が建ち並ぶなど、地域全体のポテンシャルを高めている。カジノなら韓国にも有るがこのような「非日常感」の演出ではマカオには遠く及んでいないと思う。もちろん、成田や幕張がこのような「非日常感」を演出することが出来るかは大いに疑問があるところで、それが集客力の低下に繋がりそうだ。
 木更津には「海ほたる」や「MOP」のような「非日常」を感じさせる施設が出来ているし、国際空港化しつつある羽田にも近い。カジノも選択肢から除外することはないが、他の手法でも街全体の集客力を上げる事を考えられるのでは、と成金の街で考えていた。