ゴミ処理施策を考える
2013/07/25記
 今週末の熊野神社の祭礼に向けて連日のようにお囃子の練習が行われている。私は祭礼の会計係りとして、1日おきに飲み物の買い出しに出かけ、ペットボトルを購入している。練習が終わると「かん・びん・ペットボトル」の袋と「容器包装プラスチック」の袋に分別してゴミを処分している。
 かずさクリーンシステム(以下「KCS」)という溶融炉を四市で所有している状況の中、ゴミ処理に最もコストを掛けない方法は、分別せず全てを焼却する事だ、と解っていてもペットボトルの外側のビニールを矧いで、せっせと分別しているのである。
 
 過去にはペットボトルのリサイクル過程が経済的に成り立たないという問題も発生したが、近年では中国が原材料としてペットボトルに目を付け、品質の高い日本の分別品の需要が高くなった結果、高額で輸出されることになり、今度は品不足でリサイクル行程が上手く回っていないという話を聞いていた。そのような報道を最近耳にすることがないが、円安が進み中国の経済が縮小する中で、現在はどの様な状況にあるのか気になるところである。
 
 さて、この様なゴミ袋を1枚売ると、市に歳入として入ってくる金額は平成23年度決算ベースでは1枚38.05円[A](販売総額2億399万7千円を販売枚数536万1千枚で除した値)である。
 歳出については、まず製造が1枚4.38円[B](平成23年の製造金額2081万9千円を製造枚数475万5千枚で除した値)である。販売枚数と製造枚数が違うのは、不足すると製作するからで、製造されたゴミ袋は、一括保管及び指定取扱店への配送委託もされている。この保管及び配送の費用は1枚当たり1.05円[C](委託費966万円を配送枚数1011万6千枚で除した値)で、さらに指定ゴミ袋取扱店には、収納事務手数料を、1枚当たり3円[D]支払っている。つまり、製造から販売に係るコストは[B][C][D]の合計となる8.43円[E]である。
 
 この[A]と[E]の差額である29.62円は、収集・運搬・中間処理・最終処分等の経費の一部に充当されている。もちろんその額だけでは足りず、塵芥処理費として24億9338万8千円を支出している。ゴミ袋の売上だけでなく、資源ゴミの売上収入3821万円、容器リサイクル合理化拠出金1032万円等の収入もあるが支出は遙かにそれを上回る。持ち込みゴミのコストなどが入っている事を無視し、ゴミ袋の販売でゴミ処理の費用を賄おうとすると1枚400円を超える者と値になると思われるから、1割弱が購入代金での負担となっている状況だ。
 
 ゴミの焼却処理の単価は、クリーンセンターが稼働し、木更津市単独で処理していた平成13年度決算では1トンあたり16,937円(処理費の8億8507万5千円と人件費の1億1042万3千円の合算額をゴミ総量58,778.09トンで除した値)であったものが、四市の共同処理としている平成23年度には1トンあたり30,035円(KCSの中間処理委託料の15億5560万4千円と人件費の5591万3千円の合算額をゴミ総量53,654.05トンで除した値)と、倍近くに成っている。
 これはクリーンセンターでは焼却施設からダイオキシンが排出されるため、この削減対策として高温で溶融する廃棄物処理施設のKCSが建設されたからであり、現在の委託費には維持管理費や減価償却費だけでなく、用地取得費、借入金元本返済費等も含まれているので、高額になることはある程度やむを得ないと思う。
 
 それより、KCSの建設によって、その目的を失ったクリーンセンターは、撤去費用が高額になることから撤去されずにその場に残り、現在は持ち込みゴミの受入、分別施設として機能しているだけである。さらには現在、その敷地に存在する環境部が新庁舎に移動するまでに、有効活用を検討することが必要であると思うのだ。
 他の公共施設としては、老朽化が著しい公設市場等が有り、その移設なども検討に含め、少しでも資産を有効活用するとともに、蒐集業務の広域化等、合理的な運営を持ってゴミ処理コストの削減も目指すべきと考えて、ペットボトルのビニールを剥いているのである。