津軽の村で考える
2013/10/07記
 今月の前半は比較的自由に時間が取れそうなので、9月議会のリフレッシュに秋休みを取ると決め旅に出た。
 浅草岳に登ったりご当地グルメを食べたりしながら北上して青森県に入り、今回期待していた『田んぼアート』の風景を見るために田舎館村役場を訪れた。
 『田んぼアート』とはWikipediaに「1993年、青森県南津軽郡田舎館村が村起こしの一つとして、田舎館役場裏手の田んぼで始められた。田んぼをキャンバスに見立て、現代の米と「古代米」と呼ばれる古代に栽培されていた色の異なる稲を使って、巨大な絵を作る。近年では他の地域でも行なわれている」と記されているものである。今年の作品は次の写真の通りである。
 
 訪問日が10月2日だったので、背景を構成していた通常の食米である「つがるロマン」だけ刈り取りが行われていた。道の奥に停まっている軽自動車と比較すると大きさが想像できるだろう。
 
 開始した頃は黒い稲を使い、2色で岩木山を描いたシンプルな図柄であったが、そのうちにモナリザなどの複雑な図柄に取り組み、色についても様々な古代米を使って多色化を図り、今回の図柄では9色を使用しているとの事である。稲を近くで撮影すると右のような状況である。
 
 展望台から見て図が綺麗に見えるよう、高速道路の文字表示のように縦に引き伸ばし、更に奥ほど大きく補正している。ただでさえ複雑な図をコンピュータ処理しているため、田んぼの上に作図する作業は光波測量の機材を使うなど、大変な苦労をしている。しかし年毎に評判が広がり、昨年からは場所が離れた道の駅にも第2会場を設けている。両会場とも職員が受付を行っていた。
 田植えや刈り取りもイベントにしているようで、今まで特に名物の無かった田舎館村の名声を急に高めている事は間違えない。
 
 さて上の写真を見る展望台は村役場の最上階となる部分で、その村役場を正面玄関から見るとこのような建築物である。
 
 この天守閣のような部分から反対側を見下ろすと田んぼアートが見えているのである。人口約8千人の村ながら、凄い個性的な役場を建てたものだと、その点にも感心させられる。
 
 この田んぼアートを見終えた後、近くにある鶴田町に『日本一長い木橋』と言われる『鶴の舞橋』も見に行った。青森ヒバを使い農水省が2億6千万円を投じて設置した橋が次の写真である。
 
 近くには整備された公園もあり人口1万4千人の町に立派なものがあると感心させられる。ただ、こちらは『田んぼアート』ほどの知名度は無く、木橋ゆえの維持管理費が今後の負担にならねば良いだろうと感じて現地を見てきた。もっとも鶴田町の人が日本一高い歩道橋の中ノ島大橋を見たら同じ事を考えるかもしれない。
 
 これらの町村は首都圏や関西圏からも遠く、津軽といえば弘前のイメージが先行する中で、何とか個性を保ち、人を惹きつけようと努力をしていると感じた。アクアラインで都心に直結し、MOPや海ほたるの集客力に安堵していて良いのだろうか、遠く津軽の地で感じてきた次第である。