PM2.5注意喚起を思う
2013/11/11記
 先週の日曜日にかずさアカデミアパークで開催された西アフリカフェスティバルin木更津に列席した日、千葉県は微小粒子状物質(PM2.5)が高濃度になるおそれがあるとして「PM2.5による大気汚染への対応に係る国の暫定指針」に基づき、全県を対象にした注意喚起を行なった。これは千葉県として始めてのことである。
 木更津において当日に息苦しいとか視界が悪くなったといった目に見える被害が発生しなかったため、特に大きな騒ぎには成らなかったが、微小物質でもあり、中国での深刻な被害が報道されることもあり、何人かの市民から大丈夫かと相談を受けた。
 
 市の環境部に問い合わせると『影響は主に呼吸器系へのものであり、摂食による健康影響はこれまで報告されておりません。屋外活動について、マラソンのように呼吸器系に過度の負荷がかかる長時間の激しい運動でなければ暫定指針値を大きく超過しない限り屋外での活動は問題はないと考えられています。ただし、呼吸器系、循環器系疾患を有する人、子児などは影響を受けやすく、個人差も大きいため個人の体調に応じて行動することが望まれます。』との事であり、切り干し大根の天日干を引っ込める必要は無いようである。
 また、この基準は環境省が平成25年2月に設置した「PM2.5に関する専門家会合」において設定された暫定的な値であり、国内外の疫学研究結果等に基づいて注意喚起のための目安として設定されたものという位置づけである。
 
 そもそも注意喚起を行うためには
@PM2.5の測定値が、2局以上で85[μg/m3]を超える。
A1日の平均値70[μg/m3]を超過する可能性がある。
の2点で判断される。千葉県のHPによると、当日のPM2.5の測定結果が@を超えたのは
・市原八幡測定局 5時:92[μg/m3]
・市原郡本測定局 5時:127、6時:90、7時:95[μg/m3]
・市原廿五里測定局 5時:96、6時:88[μg/m3]
の3局だけで、上記以外は、全て85[μg/m3]以下であった。
 スモッグ注意報では比較的狭いエリアで注意報を発令するのであるが、微小粒子状物質(PM2.5)の場合は全県を対象として注意喚起を行う体制となっているため、市原だけの値が悪くても千葉県一円で心配しなければならない体制となっているようだ。改善が検討されるところである。
 ちなみに観測点は県内に30箇所ほど設置されており、内訳は県局が12、市局が18と成っている。現在木更津市内に測定局は無いが、千葉県が今年度中に木更津第一中学校にある大気測定局に導入予定となっているようだ。
 
 PM2.5というと中国から危険な大気が流れ込むという印象があるが、今回は市原の3局に限定され、早朝の5時を中心にした値であるため、私などは化学工場が早朝に排煙装置の作動を誤ったというような原因を想像するし、原因を追究するためには微粒子の化学組成を調べれば事が足り、原因企業に指導を行うべきと思う。
 しかし市を通じて千葉県に確認したところ、PM2.5の測定機の濾紙に付着しているサンプルでは有効なデータが得られず、成分分析を行うには専用の装置でサンプリングを行う必要がある事から分析の予定はないとのことである。
 
 自動車の環境対策が進むまで日本でも「PM2.5」の問題は生じていたのであるがその名称で問題になったことはなく、近年になって肺がんの原因として急に浮上してきた概念である。そのため、放射能と同様に、知識不足よるいたずらな不安が先行する事も見受けられる。
 今後は単純に注意喚起を行うだけでなく、その危険性の程度を告知し、原因把握と防止対策を同時に行うことが安心につながるだろうと、この問題を一週間ほど調べていて考えた。