バラマキを危惧する | ||
2014/03/20記 | ||
市長選挙も中日を過ぎ、残すところ本日を含め3日間になった。街中では選挙カーが走り回り、新聞には双方のチラシだけでなく選挙公報も折り込まれ、インターネット上では立候補者の声が聞ける『e−みらせん』という、かずさ青年会議所が録画した情報が提供されている。少し前までは選挙があることを知らない市民も多かったが、毎朝の広報無線放送で不在者投票の情報も流れる中で意識も高まり、今週末の投票日を迎えることになるだろう。 今回の市長選挙は双方とも水越市政の継承を掲げ、大きな争点がないと新聞記事では目にすることが多いが、私には行政の継承のため市民参加を求める小さな政府型の渡辺候補と、行政には弱者を支える役割を求める大きな政府型の石川候補という争点が見えてくるのではと、たまたま18日に聞いてしまった石川候補の街頭演説を聞いて思うことになった。 弱者を支える事は重要であるが、その手法として減税を前面に出している(右図参照)のは疑問が多い。減税を公約にして当選した名古屋市の河村市長は、それを強行したが、それにより名古屋が活気づいたという話も聞かず、他に追随する都市も見ていない。名古屋なら大企業の法人税で減税の余力があったが、木更津には何処に余力があるのだろうか。生産年齢人口の減少に伴い税収の増加が見込めない中で、他の何を犠牲にして財源にするのか、平成26年度の予算審査を終えたばかりの私には理解できない。残る手法は行政が借金をして減税をすることだが、それは前任の借金を返済することに追われた水越市長のように、後の時代にツケを回す事になることを木更津市民は知っている。 ミニバス(コミュニティーバス)についても2010年9月8日の決算審査委員会で『コミュニティーバスは、袖ケ浦市平川地区でガウラ号が運行されているが、利用者の減少により、2009年度に1,200万円を超える赤字が生じ、2010年9月末をもって廃止される予定。また、君津市では、公共交通機関の空白地帯が多く存在することから、4路線のコミュニティーバスが運行されているが、この維持に昨年度約1億700万円を支出し、大きな財政負担となっている。このことから、コミュニティーバスを導入することより、路線バスを維持していくことの方が、財政負担を抑制する方策としては有効と考えている。』という答弁もあった。この財源措置についても疑問である。 何でもやりますと言いながら、結局出来ることが限られ、政治が混乱したことは2009年7月21日に民主党を圧勝させた国民全てが理解していると思うのだが、相も変わらぬバラマキが提案されていることに危惧を覚えるのは私だけであろうか。 2011年3月11日に自治体が機能しなくなる瞬間を目撃してしまった私たちは、最終的には地域の力が強くなければ生命に係わることを学んだハズである。自助と互助が成り立つ社会を構築し、それで達成できないところは公が支えるという構造に向けて、あえて市民の覚悟を求める姿勢に私は共感するのである。 一昨日に出席した小学校の卒業式で校長先生が孔子の言葉を引用されていた。それは『学んで思わざるは即ち罔し、思うて学ばざれば殆し』という論語であった。この意味は、学んでも考えなければ自分のものに成らず、考えても学ばなければ独断になり危険であるといった意味である。校長先生は小学校で開催された書の大会も振り返り、学ぶことの重要性を伝えたかったのだが、私は聞きながら次のことを考えた。 石川候補は東大で学び建設省で様々な政策を進めてきた優秀な官僚であるが木更津と市民について考えて来るような機会が少なかったので政策が自分のものに成っておらず、一方の渡辺候補は県議会議員や地域のボランティアをする中で多くの人々と議論を重ね、地域を思いながら学びを続けて来たので独断に陥ることもなく自分のものになって居るのだろう。 いよいよ3日後には新しい市長が決まる。耳障りが良いだけで実現性の低い方向に進まないことを強く願っている。 |