市原で芸術鑑賞をする
2014/04/13記
 地元のFMラジオから連日のように『いちはらアートミックス』の情報が流れてくる。3月21日から5月11日までの52日間の開催であるが、気がつけば残り一月を切っている。隣町で行われているイベントなので一度見ておきたいと思っていた事もあり、晴れたから市原へ行く事にした。
 
 朝10時を過ぎて自宅を出て、市原市役所加茂支所の無料駐車場に車を停め、荷台からママチャリを降ろした。イベント会場の地図は無いかと支所の案内所で聞いたが役に立つものは無かった。
 最寄の里見駅にも案内所が有るのでそちらに移動すると加茂地区の地図が置いてあったので入手する、ちなみに、イベントのパスポートは3,800円で、小港鉄道やバスの乗車券も兼ねているという事は知っていたが、全ての作品を見ようという意欲が無い事と個人的運動不足解消も兼ねた自転車ツアーとした事で購入せず、単独の入場券を購入することにした。
 まず、最初に里見小学校会場に入ったが、有料ゾーンの内容が把握できない事から躊躇い、外に出ると小学校が創立100周年を記念した年に閉校した事を知った。碑の日付は平成25年3月31日と、比較的最近である。
 調べてみると平成19年に月出小学校が廃校になり、平成25年には里見小学校、高滝小学校、富山小学校、白鳥小学校4校が加茂学園に統一されて一度に廃校となっている。今回の会場になっている多くの小学校のレクイエムも兼ねているのが『いちはらアートミックス』だという一面に気がついてしまった。
 
 さて、里見小学校を出ると昼を回っていたので、月崎駅を経由して市民の森に行き、方々に看板が出ている「サンタルカレー」を食べようと向かう。バス停はこのイベントに合わせ新しいものに成っていた。駅には様々な案山子(月崎では魚・大久保ではトトロ等)が飾られており、これも芸術なのだろうと思いながら市民の森に着くと入り口部分でチェーンソーで原木を削る彫刻作りをしていた。これはダイナミックなアートだと感心しながら「サンタルの食堂」に着き300円の入場料を支払って1000円のセットを頼んだ。 
 サンタル族とはインド北東部に住む少数民族らしいが、この会場に有った様な藁葺きの建築物に住んでいるのでは無く、あくまでこれは芸術家の創作と聞かされ、サンタル族の文化が遅れているような印象を与える方針に疑問を抱くとともに、無駄な300円を支払ってしまったものだと反省する。その上、他にお客が増えたためか、カレーのセットの飲み物であるチャイが中々出てこない。しかし明るい受付の人にガイドブックを借りて、白鳥小学校が面白そうな事や、月崎から飯給にかけて素彫りトンネルの続く小道が有る事を知ったので、待たされたことも悪くは無いと思えた。
 
 約30分後にチャイを飲ませてもらい、上総大久保駅を経由して白鳥小へ移動する。受付で入場料金800円を支払って学校の中に入り展示を見る。
 階段を鍾乳洞探検のようにしている所や、窓を封鎖して参加型のお化け物語を作ることなど、それなりに感心した。土曜日であれば校庭で運動会が開催されているという事であるが、今日は静かに桜の花びらが舞っているだけだった。
 
 更に南部の養老渓谷にも会場が有るとは知っていたが、ここから車に帰るため北上を開始する。但し、先ほどチャイを待つ間に知った細道に入り、トンネルや立派なお寺の山門、芸術作品となった桜の木や湖面上の飛行機(?)などを見ながら帰ったので往路とは別の楽しみがあった。加茂支所で車に自転車を積んだら、市原鶴舞バスターミナルの施設と『関東の駅百選』に選ばれた上総鶴舞駅を見学して帰宅した。
 夕方に地元の会議があったので急ぐ事に成ったが、1日を費やすに値する広域イベントだと思うとともに、菜の花が咲き誇る小港鉄道の駅舎の美しさを思うと、久留里線の沿線住民は利用者を楽しませるためにどの程度頑張っているのだろうと思い、さらには快速停止を働きかけている岩根では何が出来るかと、芸術とは別のことも考えていた。
 
 さて、このイベントの先例としては、香川県の瀬戸内の島々を中心に開催される『瀬戸内国際芸術祭』や新潟県十日町市の『大地の芸術祭』がある。回を重ねる毎に観光等の交流人口の増加、地元住民の元気の増加で街の活性化に繋がっているようで、市原市も継続的な地域活性化のために今後も開催するようだ。
 今回の予算規模は委員会で3億5千万円と報告されている。『瀬戸内国際芸術祭』や『大地の芸術祭』と比較すると低額のものであるとの事であるが、木更津市の予算規模のほぼ1%である。財政規模が大きい市原市だから出来た事業なのかなと思うとともに、次回以降の開催でも議会や住民の理解が得られ続けられるのだろうかと、他市の事を心配に思っていた。