都議会での騒動に思う
2014/06/24記
 6月18日に開催された東京都議会の一般質問で、塩村文夏議員(35歳・独身女性・みんなの党)の質問中に「自分が早く結婚すればいいじゃないか」等とヤジを浴びた問題が大きくなり、尾を引いている。
 発生から5日が過ぎた23日になって自分がヤジったと名乗り出た鈴木章浩議員(51歳・既婚男性・自民党)は、前日までにテレビの取材を受け「私は言ってない」と嘘をつき、「議員辞職すべきでしょうね」と話していながら、自分は会派離脱だけで済ませており、その態度に怒ったのか、鈴木議員の事務所の壁に生卵約20個が投げつけられるような事態になっている。
 
 騒ぎが大きくなった理由の一つは、若い女性議員に対する差別的な発言が許せないという者だろうが、例えば地方都市の市議会議員(50歳・独身男性・羅針盤)が同様な質問中に「自分が早く結婚すればいいじゃないか」とヤジを受けたとしても、それは騒ぎに成らなかっただろうと思う。
 騒ぎが大きくなったのは、海外でオリンピックを開催する日本の首都の議員がこの程度の認識だと報じられ、それが逆輸入される形で日本の報道競争に火を着けてからだと思う。テレビを見た多くの「善良な人」が「日本の恥だ!けしからん」と騒ぎ始めたのであるが、ヤジをする議員が悪い、という良識の議論に留まり、男女差別を解消しようという意識に多くの人が成った訳ではないという事にも違和感を感じるのである。
 世界経済フォーラムの調べで、日本における男性平等の指数は世界136ケ国中で105位と低迷しており、特に政治の分野では女性国会議員や女性閣僚の比率の低さや歴代首相に女性が居ないことなどでで118位と低迷している。かくいう木更津市でも女性市議の割合は28人中4人に過ぎない。そのような現実に目を瞑り、議会で女性蔑視のヤジを飛ばした事だけに批判をするのは片手落ちだと思うのである。
 
 もちろん、大田区選挙区で34,746人の人が期待して投票してくれた鈴木議員が嘘を数日間もつき通した事や発言と行動が違う事は政治を行うものとして非常に問題と思うし、議会運営の点でも、世田谷区選挙区で23,621人の投票を得てきた塩村議員の質問を遮るような行動に不快を覚えることは私も同感である。さらには問題が大きくなるまで同僚をかばい続けた周辺の議員にも問題がある。しかし、政治家に対してならどんな批判や暴言も許されるかのような論調には嫌悪感すら覚える。
 さらには、鈴木議員の発言は「自分が早く結婚すればいいじゃないか」だけで「産めないのか」等と報道された発言は別の議員が行っていると示唆している。塩村議員も他にヤジを飛ばした議員が居ると言っており、その犯人探しをゲームのように楽しんでいる人も居るかのようだ。処分を求めるネット署名も広がっており、魔女狩りのように、人を叩く事が目的化してしないだろうか。だから問題の延長線上に生卵が投げられるのだと思う。
 
 勘違いされないように繰り返すが、私はこの問題は大したことが無いと言っているのではく、本質からずれた所で騒ぎすぎではないかと思っているのである。
 
 木更津市議会ではヤジが飛ぶような事はほとんど無く、有っても場を和まそうとした発言に対する合いの手や笑いの類程度だろうと、私の経験の上では感じている。それでも東京都議会を他山の石として、木更津市議会の運営をせねばと思わされる今回の騒動であった。