富津ふれあい公園で思う | ||
2014/07/03記 | ||
議会最終日に開催された基地対策特別委員会で江川運動公園の拡張が具体化しつつある事が示された。今年度は実施設計を行うという話だが、まだ基本設計の地元説明の話も無い。取り付け道路の位置や既存神社との取り合い等、実施設計前に同意を得ておかねば成らない事も多いだろうが、それは防衛省の仕事なのか地元自治体の責務なのか、調整が取れているか気になる。 また、設計に当たっては野球場・サッカー場・陸上競技場のほかジョギング&ウォーキングコースの整備も重要と考えるし、個人的には木更津市の負担を覚悟するのであれば既存の野球場も硬式公認野球場規格まで整備すれば良いのにとか、調整池の護岸は可能なら現在の湿地を残すとか近自然工法を取り込む事で無機質にしない等、色々思うことはある。 また将来の維持管理に負担とならないような設計にすべきだろうと考えた時に、既に供用開始して25年以上経過していると思われる富津ふれあい公園を見てくるのも参考になるかなと思った。そこで、昨日の昼間に運動着に着替えて出かけてきた。 ふれあい公園は臨海工業地帯と既設市街地との緩衝緑地として整備されたもので硬式野球場と陸上競技場の他、テニスコートや少年サッカー場や運動広場の他、富津公民館や埋立記念館を始めとした様々な施設が配置されている。東西に長い形状は5箇所で道路が横断するため、それに面して駐車場を整備することで様々な所からアプローチが可能となっている。当然、規模においては江川を遥かに凌駕するもので、比較にならない点も多い。 数多く設置された便所や水飲み場・自動販売機・ベンチは安心して最長9.6kmにもなるウォーキングコースを手ぶらで楽しむ事が可能に成るし、両端を除く横断する道路3本と園路は立体交差をすることで、交通事故の危険性も排除されている。少なくとも水飲み場の配置は検討する必要があるかなと思う。 立派な施設である一方、問題点も数多く見えたので、その中から3点ほど列挙する。 1.園路の整備水準 建設当初より、園路の交差点部分に変化を持たせるためか、自然石を敷き詰めている所が何箇所か有る。造園的には美しいと思ったのだろうが凹凸で躓く人も多く、現在はその上にモルタルの道を載せている。将来の維持管理も高く成るので一様に平坦にするべきである。 2.木造遊具の劣化 公園のシンボルでもあった木製の大きな船の遊具は腐食で危険になり使用禁止となっていた。木の温もりは捨てがたいが、長期的な視点は重要だろう。また、設置されたモニュメントは周辺の樹木が生長することにより埋もれてしまっている。木陰も重要なので兼ね合いが難しい。 3.看板文字の剥落 健康増進用の遊具が設置されるなど、羨ましい点もあるのだが、その使用法を書いた看板の文字が完全に消えてしまっている。看板類は錆びない事は当然として、ペイントは経年的に失われることを念頭に、例えばステンレスの押し出しとするなどの対応が望まれるだろう。 以上のような点を確認しつつ、9.6kmを約3時間かけて歩き回ってしまった。広大な芝生広場も綺麗に刈り取られ、樹木に農薬散布等を行うために少なくとも8人を越える職人が維持管理に当たっている所を見ると、富津市の負担の重さも気に成ってしまう。実施設計で維持管理を念頭に置くことを願いながら今回のレポートの記載を終える。 7/5追記 富津市役所に問い合わせて『富津ふれあい公園』の概要を把握したので以下に記載する。 1.総面積:53.13ha(江川の現計画の約4.2倍) 2.建設期間:昭和60年 8月 2日〜平成 2年 6月30日 3.供用開始:昭和61年10月 1日(第1次供用開始) 昭和62年 6月 1日(第2次供用開始) 昭和63年 8月 1日(第3次供用開始) 平成 元年 4月 1日(第4次供用開始) 平成 2年 4月 1日(第5次供用開始) 平成 2年 7月 1日(第6次供用開始) 4.建設総事業費:第T期 14,299,890,000円 第U期 2,324,075,709円 5.事業費の内訳 硬式野球場 4億8500万円 陸上競技場 3億8800万円 ビジターセンター 1億1341万円 その他公園施設等 171億2155万円 6.平成24年度決算における維持管理費:141,605,719円 7.平成24年度決算における施設利用料等収入:9,300,880円 収入は1千万円弱ほど上がっているが、維持管理に約1億4千万円支出している事になる。江川の拡張は面積的には1/4以下ではあるが、単純に考えると3千万程度の維持費が必要となる。維持管理をどれだけ抑えられるかという視点は改めて重要だと思う。 |