中郷小中学校を考える
2014/08/27記
 先週の土曜日(23日)に中郷中学校旧体育館で中郷小中学校の施設整備に関する説明会が行われた。羅針盤を含め何人かの議員は傍聴に行ったようだが、私は個人的な用事が入っていたため出席出来なかった。説明会では、現在の中郷小学校用地に小学校と中学校の併設校を建てるという計画が出された事は、参加した一人である鶴岡議員のHPに詳しく記載されている。
 鶴岡議員も指摘しているように将来も或る程度の子供が通学することで教育の質が維持されることを確認してから計画を進めるべきだという視点はとても重要であるが、私からは小学校用地に併設校を建てることの問題点を考えたい。
 
 なぜ中学校用地でなく小学校用地なのかというと、中学校用地では中郷の人口重心から離れ、牛袋の川東、いわゆる図那地区からでは遠すぎ、その通学距離は最大4kmを越えることになるためである。馬来田小学校ではそれより長距離を通学している子供が居るが、そこには他の学校という選択肢が無い。一方、図那の場合は近くに西清小学校や高柳小学校が2km以内に有るため、遠くなった中郷小ではなく、そちらに通ってしまう可能性があり、古くからの地域が分断されて困る、という事である。
 また、中郷村の頃から井尻地区が中心という認識が地域にあり、小学校だけでなく公民館や郵便局、農協等が集約されている。そこに小学校を戻すことは当然だという思いも理解できる。
 しかし、現在の小学校敷地は幾つかの問題を抱えていると思うのでその点を考えたい。
 
 1点目は小学校の敷地面積の問題である。下表に示すように中郷小学校用地は市内で2番目に狭いもので、さらに敷地の一部は民地(104.13u)であり、有償で借り上げている。
No 校名 区分 校地面積 No 校名 区分 校地面積
1 西清 小学校 8,433 1 第三 中学校 15,679
2 中郷 小学校 10,934 2 金田 中学校 16,393
3 馬来田 小学校 12,596 3 第二 中学校 18,297
4 第一 小学校 13,234 4 中郷 中学校 20,856
5 鎌足 小学校 15,680 5 第一 中学校 22,360
6 富岡 小学校 15,945 6 清川 中学校 22,813
7 波岡 小学校 17,470 7 鎌足 中学校 22,934
8 請西 小学校 17,792 8 岩根西 中学校 25,442
9 岩根 小学校 19,140 9 波岡 中学校 28,264
10 第二 小学校 19,838 10 岩根 中学校 29,146
11 東清 小学校 20,528 11 太田 中学校 31,663
12 南清 小学校 21,406 12 富来田 中学校 32,693
13 金田 小学校 21,904 13 畑沢 中学校 32,920
14 祇園 小学校 22,276 平均 24,574
15 清見台 小学校 22,280
16 八幡台 小学校 23,650
17 畑沢 小学校 26,708
18 高柳 小学校 27,171
19 真舟 小学校 35,786
平均 19,620
 この狭さでは、生徒数が少ないとはいえ、小中学生が活動する校庭を充分に確保する事は難しいと思われる。中郷中学校用地も市内の中学校平均より狭いものであるが、少なくとも小学校用地の約2倍は有るし、全て市有地のため有利さは明確である。
 狭い敷地を有効に活用するため、理科室・音楽室・コンピュータ室等を小中の供用とすることで建築物をコンパクトにまとめ、さらに校舎の上に体育館を置き、屋上にプールを乗せるという案も噂に聞くが、そんな都会の高層建築のように構造に無理をした高額な建築物を造るぐらいなら、井尻で他に土地を買って通常の配置にした方が総合的には安く良い物になるだろうと思う。
 
 問題の2点目は通学路の安全性である。中郷小学校の目前は県道木更津根形線が通り、それに幾つかの市道が複雑に合流する形状であるに係わらず歩道が無い危険な状況である。これは前から議会でも問題として取り上げられていた話であり、現在の位置では解決が難しいのである。
 前段でも書いたが、どうしても井尻で無ければ成らないなら、他に安全な位置に学校を配置し、現在の小学校用地を利用して道路の線形改良を行ったり、地区計画を行政が立案し宅地開発を進めて若年人口を増やす等の施策を考えるべきでは無いかと、用地に付いては思うのである。
 
 3点目に中郷中学校敷地に残される建築物の活用という事が挙げられる。新しい体育館は建築・電気・設備の3本に分けた工事で合計約3億5千万円にもなる費用をかけ、間もなく完成するが、それを放棄して小学校に行くのは勿体ないと思う。
 他にも中郷中学校の敷地内には、現在中郷小学校が入居している新耐震の建築や、これから建築を始める仮設校舎も出来ることになる。耐震基準を満たさない校舎を増改築する事で併設校とする事が最安価で早い対応と思うのである。
 たしかに、新しい体育館を含め、これらの財産を学校施設としてでなく、構想中の農業公園と一体的に運用することで地域の新しい核を作ることが出来れば、財産も有効に活用されると思うが、それを目指して大規模に投資する余力が我が市に有るとは考えにくい。木更津市北部体育館として市民に開放する事が当面の対応であろうが「箱物」が増える結論が歯がゆく思う。
 
 4点目は中郷小学校の体育館の問題である。現在の体育館は狭く、その上Is値が0.22と低いため耐震設計を進めたところ、部材が補強に耐えられず、建て替えるしか無いという結論になっている。中学校敷地に新しく体育館を建てたばかりなのに、また小学校敷地に小中兼用の体育館を建てるとしたら、これは無駄な投資ではないかと考えてしまうのである。
 
 5点目は他の小学校との比較である。確かに図那から有吉の中学校は小学生の足では遠いと思う。であれば、思い切って小櫃川以東は高柳小(又は西清小)学区にしてしまう事も考えるべきだと思う。現在、港南台の一部を畑沢小でなく波岡小に通わせるような学区の線を引いている事や請西でも学区を度々変更した事を考えると、それを選択肢から外す前に住民の意見を聞いても良いのではと思う。
 
 他にも鎌足小中学校が併設校で有りながら分離した経緯を考えると、併設校でなく小中一貫校とするべきだったのでは、など問題を多く抱えている中郷小中学校の件については今後議会で説明する事だろうが、悔いの残らない結論を出したいと考え、今回の記事を書いた次第である。