独立の住民投票に思う
2014/09/22記
 この週末はスコットランドが英国から分離、独立するかが問われた住民投票の話題が大きな賑わいとなったが、19日の開票の結果、反対多数で分離は否決される事になった。投票結果は、反対が55.3%、賛成が44.7%だった。事前の世論調査で賛否が拮抗していたが有権者は最後には独立に伴う混乱を回避したのだろう。
 それでも投票率が84.6%と、北海道と同じ規模で行われた選挙としては極めて高かった事や、選挙結果が出た後に、独立賛成派のスコットランド民族党(SNP)が「民主的な決定を受け入れる」と述べた事に「民主主義の国」の実力を感じることが出来た。
 独立は成し遂げられなかったものの、自治政府への大幅な権限移譲が決まり、安定した経済や通貨の元で、自主的な地域運営が可能になったことより、これからのスコットランドの展開は注目されることになるだろう。
 
 一方、英国の植民地から中国に復帰した香港では、2017年に予定されている香港特別行政区の行政長官を選挙で選べるものとしたものの、立候補は中国政府が認めたものに限る事としたため、民主派の立候補を認めない制度であると騒動になっている。
 中国の漢民族は数が多いので、例えばウイグルやチベットで民主的に独立の住民投票が行われたとしても、漢民族が独立反対に投票してしまい、選挙の結果として民主的に独立が封じられることになるだろう。
 香港では「中国人」と「香港人」が現在の所、明確に区別されており(例えばパスポートも異なり香港人はビザ無しで日本に自由に来訪できるが中国人は申請が必要)行政長官の選挙は香港人によって行われるが、仮に中国人を大量に香港人とする事が出来たら、民主的な選挙の意味が失われてしまうだろう。
 
 日本では約150年前まで「琉球王国」として独自の歴史を歩んできた沖縄が、米軍基地の過大な負担解決として日本から独立しようという声も上がっているようだ。その声は未だ小さく、選挙を行うまでもないことであるが、中国から帰化した日本人が大量に沖縄に移住し、独立した後で中国との連携を図るような事が、遠い将来には有り得ない、とは言い切れまい。
 
 中東では「イスラム国」が宣言され、そこに欧州から多くの若者が参加しているようだ。テレビ報道によると彼らはキリスト教徒が中心の欧州世界の中で常に少数派であるイスラム教徒で、多数決の結果で不利益を得てきたと感じているようだ。民主主義が良いとは思えないと言う彼らの意見をテレビで聞くと、欧米の民主主義の世界で教育を受けてきたものでも、そのように成るのかと考えさせられる。
 
 中郷での中学校の存続や、巌根駅への快速停車など、木更津市全体で多数決を取れば地域の意見と逆の結果が出る可能性が高い問題点は数多くある。スコットランドの独立のように国民全体に等しく与えられた課題なのか、個別の課題なのかという質の問題があるが、「民主的な決定を受け入れる」と常に言い続けることが出来るだろうか。最近の報道を聞きながらその様な事を考えていた。