マイナンバーを思う | |
2015/06/05記 | |
議会初日に行われた総務常任委員会協議会は特定個人情報保護評価書(素案)に係る意見公募に付いての協議であったが、マイナンバー制度に関する質疑が続くことになった。これは125万人分に相当する年金の個人情報が漏洩した事件が発生した直後であったこともあり、多くの疑問や不安があった中で行われたからであろう。 主な質問を列挙すると次の通りである。 ・今回のような情報漏洩は起きないか ・何時から何が始まるのか ・個人カードの更新や再発行はどうなっているか ・現在の住民基本台帳カードとの関係はどうか ・個人カードの発行を申請しない時の支障はなにか ・個人カードのICチップ内にどの程度の情報が入るのか ・なりすまし対策はどうなっているか ・未成年のカード管理は大丈夫か ・制度導入による経費はどの程度必要か ・木更津が個人情報保護をしても他から漏れないか ・どの程度の機関が加入してくるのか etc 他にもカードの汎用性(例えば健康保険証や免許証も兼ねるようになるのか)とか、市から情報が漏洩した場合の職員の罰則はどうかとか、国勢調査との関係とか、ホームレスのような居住不明者や生死が不明確な高齢者への対応はどうかとか、個人的にも気になることは多い。 ・ 人間が作るシステムであるし、基本的には利用を前提としている上に、病院や銀行等にも拡大するようになれば、個人情報を完全に守ることは不可能であると個人的には考えている。個人情報が漏洩することによるデメリットの大きさは想定できるが、得られるメリットの大きさにも理解が出来る。現在の個人情報保護の中では基本的な情報すら共有することが困難になり固まらない砂のような脆弱さがあるように感じている。日常時には問題なく過ごしていても大災害のような非常時には大丈夫かと気になっている。 違法使用への対策は罰則と社会的制裁といった大きなリスクの壁でガードを行う事も重要であるが、情報源を明らかにしないダイレクトメールや営業電話の禁止等と言った法制度も必要になるのかも知れない。戸別訪問営業も禁止になると大変だろう。 不正に入手した情報を元にしかたは定かでないが、今回も年金の振込先を変更するよう行政に届け出たものが多く有ったようだ。金融機関まで全てマイナンバーの枠に収めたときには偽造口座を防止しやすくなる上に不正蓄財を明確にする効果が出るとは言うが、それでも金融犯罪を防止することは難しいだろうし、何より国内法なので海外の銀行口座に指定された場合も考えると対応が難しい事態になるだろう。そのような被害者は国家賠償の対象とするのか、そんな問題だってあるのだろう。 電話が普及する段階で、電話機を所有することはステイタスだった時代がある。その頃は電話帳に名前が記載されることに疑問を感じることも無かっただろう。私も学校の卒業名簿に住所や電話番号が書かれた事に疑問を持ったことはない。過去の病歴や犯罪の履歴など秘密にしておきたい個人情報まで一覧表になったわけではないが、基本的な情報はみんなが入手出来ていた。農村集落では世帯構成や仕事先なども全て情報が共有されてきていたし、差別部落といった問題を除けば、それで問題が起きたことは少ないと思う。今では隣の崩れそうな空き家が誰の所有物かといった事さえ知ることが出来ない世の中になってしまった。 ともあれ、マイナンバー制度については集中的な勉強会が必要だろうと委員長席で進行を行いながらそんな事を考えていた。 6/9追記:昨日からパブリックコメントが開始された。市民税・県民税の課税に関する事務に係る特定個人情報保護評価書(素案)の12頁にある「特定個人情報ファイル記録項目」を見ると少なくとも598項目のデータが入ることが解る(抜粋)。中には「255.肉用牛売却価格」の様に大多数は関係ないものも多いが、株での損得や長期海外出張など、個人的な多くの項目がリンクされていく事も想定できる。これらが漏洩することを前提とした法整備が求められるだろうと改めて考えさせられる所である。 |