オスプレイを議論する
2015/11/08記
 先月30日に発表のあった木更津駐屯地にオスプレイの整備拠点を設けることについて、11月5日に千葉県及び木更津市並びに木更津市議会に対し防衛省から説明が行われた。
 午前中に森田県知事に説明を行った後、午後1時から木更津市長に説明があり、午後2時からは基地対策特別委員会協議会で説明が行われることになった。発表から1週間以内であり速やかな対応であったと委員長としては評価している。
 
 翌日の朝になり千葉日報を見るとまたも一面に大きく記事が出されており、議会での議論を市民に伝えるためにも、積極的に情報発信をするべきですよという声も聞かれ、少し間が空いてしまったが、改めて個人的な見解を加え、議論を「最近思う事」として整理してみる。
 
 会議当日の昼間に防衛省から配布された資料は木更津用に整理されたものであり、主な点を引用すると下記の通りである。
 
01 横田の米軍基地に配備される「CV-22」オスプレイ10機の整備は今回の入札はに含まれておらず、今後の取扱も未定である。
02 整備を行うK格納庫は約5,000uで、オスプレイが最大4機同時に整備できる程度のスペースである。
03 K格納庫は11月26日に開札される改修工事で消火設備や塗装ブースを設置するなどの対応が平成28年12月までに済み、米軍の最初の1機は平成29年1月に木更津に飛来する。
04 オスプレイの整備点検のための飛行は原則平日8:30〜17:00であり、時間外使用の場合は前日に駐屯地に通知が来る。また試験飛行は東京湾南部又は相模湾といった洋上を使用する予定である。
05 木更津に配備されている「CH-47」チヌークに比べ「MV-22」オスプレイの騒音レベルは低いと思われるが同一条件での比較ではないため確実な事は同一環境で比べなければ解らない。
 
 これを受けて冒頭に委員長から3点を確認した。
 
06 「CH-47」と「MV-22」の比較資料は同一高度でないなど比較が困難であるので、実機を飛ばして騒音レベルの調査を行うとともに近隣住民が直接感覚的な確認をできないか?
 → 米軍と調整してみる。
07 本年5月17日にハワイで事故が発生したが安全率はどうか、また木更津に居る「CH-47」の値はどうか?
 → ハワイの事故を反映していない2014年9月が最新の値で、飛行時間10万時間当たりに重大な事故が起こる確立は2.12である。なお自衛隊機の事故率は算定していないが、米軍が運用している「CH-47」の事故率の4〜5に比べると低い値である。
08 米軍の最初の1機は平成29年1月から整備と示されているが、その前にルート確認等で木更津に飛来する事はないか。
 → 現在の所、その予定はない。
 
 委員長からの質疑の後、多くの質疑が行われたので、私の感覚で重要と思われる答弁を抜粋した6点を記載する。
 
09 オスプレイが固定翼から回転翼に切り替わる時間は12[秒]程度であり、移動距離1[km]以内で切り替えることが出来る。従って不安定な状況は木更津基地の中で収まると思われる。
10 環境面の担保のために米軍と防衛省と市が覚書のような文章を取り交わすことが可能か、持ち帰って今後検討する。
11 沖縄国際大学における米軍へり墜落事故を受けて日米安保のガイドラインが変更になった。今後が一、木更津で事故を起こしても地元の警察力や消防力を排除するような事態には成らない。
12 市議会は住民の代表として考えているので、今のところ住民向け説明会を開催する予定は無い。
13 K格納庫で最大4機が同時に整備可能としても運用上は3機であり、年間に9機程度、5年に一度とすれば配備数45機程度しか対応できないと考える。
 ※(横田のCV-22の受入を完全に否定したわけでは無い)
14 当該施設の整備は基地交付金に算定されるべきものであり、市の収入は増えるものと思われる。
 
 説明を含め、本件に要した時間はおよそ2時間であった。もちろん個々に抜粋していない数多くの議論が行われたわけである。
 説明に当たった防衛省職員は防衛装備庁が3人、北関東防衛局が5人の合計8人であり、協議会は12人の傍聴議員に含め、13社16人の報道関係者と3人の一般傍聴者が居る中で行われた。
 この質疑だけで全てが明らかになったわけではないが、今後も必要に応じて地元自治体に丁寧な説明を行うという防衛省の取り組みを見守るとともに、議会としても一層の情報収集を行う必要があると考えている次第である。