基地関係要望を決める
2015/12/16記
 昨日開催された12月議会の最終日で基地対策特別委員会の全員による発議として下記の要望書を提案し、一議員からオスプレイと取り引きしたという謝ったメッセージを与えかねず提出すべきではないとの反対意見もあったが、賛成多数で議決された。
 まずは要望書の全文を記載する。
 
基地対策関係施策に関する要望書
 
 陸上・海上・航空の3自衛隊を抱える木更津市議会は、基地に対する周辺住民の理解と協力を得るため、生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しているところであります。
 昭和11年の木更津海軍航空隊の配備により、木更津市は「軍都」としての歴史を積み重ね、基地とともに発展してきました。太平洋戦争終結後、米国空軍及び海軍が駐留し、昭和27年の日本国とアメリカ合州国との間の安全保障条約(旧安保条約)の締結等により、在日米軍に提供されたものの、昭和31年に航空自衛隊木更津基地が発足し、在日米軍の撤収後も自衛隊の部隊が駐屯し、現在では全国でもまれな陸、海、空の全てが存在する都市となり、市内にも数多くの自衛隊員が居住し、自治の一翼を担っていただいております。
 しかしながら、工場立地に好条件の東京湾に面した海岸線を有しながら、滑走路を有した木更津飛行場が立地することで、京葉臨海工業地帯が本市を回避する形態で造成されることとなり、近隣市に比べ法人税収増大の機会を失うばかりか、固定資産税に見合うような交付金も受けることが出来ず、木更津市は厳しい財政状況にあります。
 日本の国防のための自衛隊の存在は理解しますが、国においては、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中で、本市が果たしている役割を十分ご賢察いただき、下記事項の実現を図るよう強く要望します。
 

 
1.基地周辺対策経費の所要額を確保し江川総合運動場の早期整備をすること
 特定防衛施設周辺整備調整交付金は、基地周辺住民の基地に対する理解と協力を得るために重要な施策であり、木更津市もこの交付金を活用し生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しているものの、基地の所在による特殊な財政需要の増大により厳しい財政需要にあることを鑑み、交付金の所要額を確保することを要望します。
 また、本年度より工事に着手された江川総合運動場は基地の存在に伴う航空法の制限地域でもあり、かつては多くの住民が居住していた集落から先祖代々の土地を国に譲り移転していった場所であります。当該場所に人々が集い楽しむ運動場が出来ることは基地に協力してきた周辺住民にとっては祖先の土地が有効に活用される喜びを育む事業であり、広く木更津市民にとっても運動施設の整備は待ち望まれている事であります。早期完成に向けた予算の充分な確保と事業の進捗をあわせて要望します。
 
2.住宅防音事業の充実強化を進めること
 飛行場周辺地域における騒音環境基準(現行62db)を航空機騒音の環境基準(現行57db)まで引き下げるとともに、騒音環境被害の実態に即して補助対象区域を拡大することを要望します。
 また、緑地帯や緩衝地帯については地域の環境を悪化させないよう適切な管理を講じるよう要望します。
 
3.地域との共生に務め防災や産業活性化に寄与すること
 木更津駐屯地は第一ヘリコプター団の常駐により日本国内はもとよりアジア各地の災害に対応する能力を備えておりますが、地元自治体とも災害時の協力体制を構築し、防災の拠点機能を高め住民の安全確保に寄与することを要望します。
 また糧食、物件の地元調達を促進するとともに、防衛施設関係工事及び維持修繕等の地元企業の受注機会の確保、基地関連企業の法人登記及び従業員宿舎を市内に設置し、市民の雇用を積極的に行うよう指導することなど、地元産業の活性化を通じて地域との共生に務めることを要望します。
 
4.基地に関する市民の安全・安心を確保し市民に情報を提供すること
 本年10月30日に防衛省から米海兵隊オスプレイの定期機体整備について木更津駐屯地内の格納庫において民間企業が行うことの発表がありました。オスプレイについては、国民の安全性や環境面に対する不安が完全に払拭されたとは言い難い状況にあることから、安全の確保や環境の遵守を文書として示し、市民の理解を得るとともに、十分な説明と情報提供を行うことを要望します。
 また現在運用している各種航空機等についても事故防止のため、安全対策を徹底するとともに万が一、事故発生の場合には、その実態を速やかに市へ報告し、被害に対しては速やかに十分な補償措置を講じ、原因究明を行って再発防止に万全を期することを要望します。
 
 平成27年12月15日
 
千葉県木更津市議会議長  滝 口 敏 夫
 
防衛大臣     あて
 
 7年前の12月議会で、日米地位協定による見直しを行い、木更津飛行場の日本国有財産化を進めることを要望して以来の防衛大臣に対する要望である。
 前回は日米地位協定により、木更津飛行場が在日米軍の使用する施設として位置付けられているが、長年に渡り米軍の駐留・使用実態が無い中で自衛隊が日米地位協定第2条第4項(a)施設として運用しているものを、中野畑沢線の建設等で米軍との折衝が必要になるなど、まちづくりの支障となる中で日米地位協定第2条第4項(b)に変更するよう求めたものである。
 今回の要望書原案作成にあたり再度この事項を記載するか悩んだが、他の具体的で現実的な項目が霞みそうなので当該事項を記載することは止めた。
 
 また、固定資産税相当に達していない基地交付金・調整交付金を増額し、最低でも固定資産税相当程度の交付とすることも求めようと考えたが、当該事項は総務省所管事項で防衛大臣の権限ではない事が明かとなり、削除した。
 
 委員との文案を調整する中で、オスプレイと取引される懸念も議論に上がったが、江川総合運動場等の話はオスプレイの話題が出る前から進められていた別事案である事が明かとして、委員会としては問題無しとした要件である。共産党の同意もいただいているから当然全会一致になるものと思っていたため、委員でない議員の反対討論に対し賛成討論をするものを頼んでおかなかった事が心残りである。
 
 ともあれ議会の同意をいただいたので本件の提出に向けて日程を調整するように話を進めている。提出後に再度記載するが、まずは速報としてアップする。