花に囲まれて考える
2016/03/02記
 議会が始まったが休会中の時間を利用して春を感じるために県外に出かける事が続いた。1箇所は埼玉県の秩父にある長瀞町の宝登山であり、ここは蝋梅が有名である。もう1箇所は静岡県の伊豆にある河津町で、ここは早咲きの桜で名を馳せている。
 これらの場所を回りながら感じたことをMEMOのように記載したい。まずは2月25日に見てきた宝登山である。
 
 写真は標高497mの山頂部に広がる東ロウバイ園で花越しに武甲山を望んでいる写真である。蝋梅は黄色の花を楽しめるが豊かな芳香を体感できることが気持ちよい。寒さが厳しい秩父地方にあって早い春を感じられる場所として人気があり、この日も山頂に登るロープウェイは平日にも係わらず15分間隔で運転され、多くの人が列を造っていた。
 山頂には蝋梅だけでなく数多い種類の梅や福寿草も咲いており、ちょっとした観光地になっている。園内を歩くと木が植えられた由来を示す看板が設置されていた。
 
 この山も杉や檜の人工樹林で覆われていたようであるが、森林伐採後は県立長瀞玉淀自然公園の特別地域に相応しいように眺望を確保する広葉樹林にしてほしいと山林所有者や地域住民から意見が出され、現在の姿になっているようであり、今も地域の中学校が杉の伐採後に蝋梅を卒業記念植樹している看板も立てられていた。現在は群馬県松井田町の「ろうばいの郷」に比べ規模で劣るこの場所も、今後も順次拡大され一面の花と香に囲まれる園地になるのかも知れないと期待させていただいた。
 木更津でも多くの人工林が広がっているが木材価格の低迷で林業が振るわず、間伐もまま成らずに荒れている場所を多く見ることが出来る。その様な場所は不法投棄の対象地になるか、産業廃棄物の埋立地に成ってしまうことが見られるが、都市から近い地の利を行かし、この様に人々が憩える森林に変えることも可能だろうと思ったのである。
 
 次いで2月28日に見てきた河津桜である。
 
 写真は一緒に行った友人から入手したもので川の両側に早咲きの桜が並び、土手には菜の花も植えられて暖かな伊豆地方でも一層早い春を感じられる場所として人気がある。この日は日曜日であったので朝から多くの観光客が桜並木の下を歩いており、午前10時頃には駐車場待ちの長い渋滞も発生していた。空き地を使って500円の有料駐車場を行う町の人も、即興の土産物屋に変わった商売人も潤っている様が良く見えていた。
 有名な河津桜であるが思ったより樹が若く小さいと感じながら原木を訪ねてみると由来を示す看板が設置されていた。
 
 日本の桜は江戸時代末期頃に江戸の染井村の造園職人がエドヒガンとオオシマザクラを交配させて造ったソメイヨシノが主流であるが、この河津桜は雑草の中で発見させたものだと知った。花が初めて咲いたのは昭和41年1月で、河津桜と名付けられたのは昭和49年の事であり、まだ40年程度の歴史しか刻んでいない事も知った。その後、早咲きが有名になり房総の各地にも移植されており1世紀を越えてソメイヨシノに次ぐメジャーな品種に成っていると感じている。
 2月末に放送される番組の多くにこの町が取り上げられることで、今まで伊東と下田の間で大きな温泉地もなく埋もれがちだった河津町を全国区にする効果は絶大である。春の桜に寄せる日本人の愛着を今更のように感じるし、観光客の中からは中国語も聞こえたように日本を代表する世界的な観光地に成って行くであろう。
 木更津でも今月末から来月始めにかけて小櫃川や矢那川を中心に多くの桜まつりが行われる。中郷周辺では今は幼木に過ぎない場所も多いが長い目で見ればこの地を代表する観光地になっていくかも知れないと河津で思った。
 早咲きの河津に対して遅咲きで有名になる場所が有っても良いのになどと様々な事を考えた2月末の日々を振り返って記載する次第である。