議会改革を考える
2016/05/30記
 今月の24日に開催された議会運営委員会で議会基本条例の制定に向けた特別委員会を設置する方向が決まった。議会基本条例は自治体議会改革フォーラムという団体の調べによると2015年9月18日時点の情報では全国で701自治体(39.2%)、政令市を除いた市に限ると415市(53.9%)が既に制定しているものであり、最初の議会基本条例は北海道栗山町で平成18年5月18日に制定されているので、約10年後の取組となる。
 議会の在り方という理念を条例で定めることについては多くの議員が必要性を認識しているため、議長からの諮問でなく自発的に取り組もうという事となり議運で図られた。今後、委員会の構成やメンバーなどは会派の代表者会議などを通じて決められて行くことになる。
 
 議会事務局の調べによると、千葉県内の市の策定状況は、平成21年4月1日に制定した流山市・松戸市を皮切りに佐倉市・市原市・四街道市・我孫子市・館山市が続き、本年4月1日制定の茂原市で8市となっているようだ。
 二元代表制の一方である自治体における『自治基本条例』は議会基本条例と同時に制定した流山市と茂原市の2市だけであり、木更津市も現在のところ制定する方向には向かっていない。多くの市と同じように議会先行型になる。なお、隣の袖ケ浦市では逆に自治基本条例の制定に向けて学識経験者や市民など20人で組織された『袖ケ浦市自治基本条例策定市民会議』が活発な議論を展開し議会上程もされたが平成25年6月議会で否決されている。
 
 議会運営委員会の中でも通年議会やペーパレス化の推進・議員倫理の確立についても検討していくこととなったが、全国的に開催が増えている議会報告会をどうするか、個人的に悩んでいる。
 議会基本条例制定の第1号である北海道栗山町議会のHPには『議会報告会は、議員が地域に出向き、直接、町民に対して政策提言や常任・特別委員会など議会活動の状況を町民に報告・説明し、町政に関する情報を提供するとともに、議会活動に対する批判や意見、町政に対する提言などを聴く貴重な機会であると位置付け平成17年3月には全国で2例目、北海道内では初となる議会報告会を実施しました。こうした住民との交流を通して、議会の機能を高め、活力ある発展を目指すことを目的としています。議会基本条例の制定のきっかけは、この報告会を是非継続して実施し、条例に明記すべきだという町民の意見に端を発しています』とある。
 そのため、全国の議会基本条例は議会報告会のために制定している所が多いのであるが、現在全国的に問題になっているのは説明会への住民参加の減少やマンネリ化といった点であり、木更津市ではどの様にすべきか悩ましい。さらには昨年10月22日に富津公民館において行われた富津市の議会報告会を見た際に『住民との交流を通して、議会の機能を高め、活力ある発展』が出来ているのか、個人的に疑問を感じている。
 報告会は個々の議員が自己責任において開催するのであれば主観を交えた解説や個人的な希望も伝えられるが、多数の意見がある議会として共通認識は議決した事実だけを淡々と伝える味気ないものになるとった問題点もある。
 形式張った報告会とは一線を画し、袖ケ浦市が昨年8月22日に開催した『Cafe de ぎかい』という手法は味気なさを払拭する斬新なものだと思えるので今後研究する対象にしたい。
 
 ただ、報告会やそれに類するものより重要なことがある。例えばプロ野球やJリーグに人気があるのはスポーツ本来の魅力によるもので二軍の選手がファンサービスに努めたところでファンの拡大が進むとは思えない事を考えると、議員が議会人として本来の活動を行い、その成果が目に見えるようになる事が肝心だと思う。
 もちろん、二軍選手であっても少年スポーツ教室を通じて底辺の拡大を進め、単なるファンではなく将来の選手を確保する事は効果の高い持続的な取り組みであると評価はしている。
 議会も質を維持するためには充分な情報を得られるようにすることで政治に興味を持たせ、志ある者が議員として市を変えたいと思った場合には立候補が出来るような仕組みは重要だろう。
 そのような意味において君津市では選挙年齢が18歳に下がることを契機に今月26日に市内4高校の3年生23名を招いて行った高校生議会は興味深い。ただし、執行部席側に議員が座って答えるというのは議会が主催者だけに仕方ないかもしれないが質疑の充実という点では疑問に感じる。
 
 木更津市議会の改革を通じて、議会が市民に必要とされ、市民の意見が議会を通じて市政に届きより良い方向に変わっていき、市民が積極的に自治運営に参加すること。そのためには議会基本条例だけにとどまらず、何をしていくべきかを常に考えて取り組んでいかねばならない。まずは自分にできる事としてHPによる情報発信をこのように行っている次第である。