リオ・オリンピックに思う
2016/08/12記
 日本の広島に原爆が投下されて71年目を迎える日に、地球の裏側で開会式が行われたリオ・オリンピックも大会8日目を迎え、柔道・体操・水泳競技を中心に日本のメダル獲得が伝えられている。おかげで、連日のように気持ちの良い朝を迎えている。
 4年後の東京オリンピックに向けた選手強化が実を結んだのか、7人制ラグビーやサッカー男子等も素晴らしい試合が続き、メダルに手が届かない競技からも伝わってくる感動に感謝を捧げたいような選手達が多い。
 もちろんメダリストは賞賛されて当然の存在であり、既に前回のロンドン大会の金メダル総数に追いついた6人と1団体は世界が変わるような日々をこれから送ることになるのであろう。
 閉会式は21日の未明であるが、それまでに何人のヒーロー・ヒロインが誕生するのか、寝不足になりながらも楽しい日々が続きそうである。中国が尖閣諸島で不穏な動きをするとか、クリントン大統領候補がTPPに反対するような意見を言うとか、そのような事もうっかり忘れてしまうほど、オリンピックという祭典は麻薬であるとも感じている。
 
 この間、8月9日に茂原市で38.7度を記録するような猛暑が訪れている。同日の木更津市のアメダスは36.9度を示していた。エアコンの効いた部屋でオリンピックや高校野球をテレビ観戦していれば熱中症は防げるかもしれないが、4年後に東京で屋外競技を生で観る事の危機感を感じている。ちなみに東京オリンピックの開催日は7月24日で、今から1,442日後の事である。
 前回は爽やかな秋の開催だったのに、様々な国際大会等の日程で夏に開催せざるを得なくなっている。この条件がある限りインドや中近東諸国での開催は現実的に不可能であるし、地球温暖化が進んだら南半球か北極圏に近い国でしか開催出来なくなるのではとも思わされる。
 
 リオでは工事の遅れや選手村の設備の不完全さ、さらに治安の悪さなど、開始前には多くの問題点が指摘されていた。日本では都知事交代による無駄な時間を送っていたが、これから加速されて様々な問題を解決に持っていくことが出来るであろう。大規模災害さえ訪れなければ、という前提であるが。
 5年と5ヶ月前に発生した東日本大震災の直後には東海・東南海等の海溝に歪みが溜まり、数年以内に大規模地震が起きるといった説を唱えた学者も多くいた。また、大規模地震の後には火山が活発化し、富士山も沈黙を破る可能性が高いという学者もいた。
 今年になり熊本では断層型の大きな地震が発生し、口之永良部島等の火山も噴火活動を活性化させている。しかし、海溝型の大規模な地震や、長期に渡って航空機の離発着が制限されるような大規模噴火は、幸いなことに我が国を襲うことはなかった。
 これから東京オリンピックまでの4年間も台地が穏やかで、異常気象も増えていかない事を願うことしかできないのでは、あまりに人間は無力である。
 
 例え大規模な災害が開会の1年以内に発生しても、速やかに復旧できるような強靭なインフラの整備、災害被害を最小に納める防災体制の整備、更には万が一、東京の施設が使用不能になった時を想定した他都市でのバックアップの検討等、次のオリンピックへの課題は選手強化だけでは無いだろうと思う。
 もちろん、宿泊や災害時の避難などの首都圏の機能の一部を肩代わりできるような体制が、この木更津にも求められる事になるだろうと思うのだが、数年前に話が出ていた広域防災拠点という単語を、最近は聞くことがめっきり少なくなった。津波に対する恐れも『喉元過ぎれば熱さ忘れる』という状況になっている。これで良いのだろうかと9月議会に望もうと思う。
 
 5日後に質問通告、6日後に議会運営委員会が迫る日程の中、リオのオリンピック報道に一喜一憂する中で、このような事も考えていた。