市長選挙の費用を思う
2018/03/09記
 木更津市長選挙の告示まで残り9日間となった。先日から市内各所に掲示板が設置され始め、私も巌根駅頭で選挙が近いことを伝える活動などを行ってきたが、市民の関心は決して高くない。それどころか知らない人も少なくない。
 
 今のところ市内に選挙事務所に移行できそうな事務所を構えている候補は現職の渡辺市長だけである。渡辺市長は総決起大会を開き、新しいマニフェストを造ったりしているものの、世間は対立候補が居ないことで関心も低くなり、市政に対する不満も聞こえてこない中では既に再選が決まってしまったものと考えて興味を失っているようだ。
 では、無投票が決まったのかと言うと、そうとも言い切れないところが今回の選挙の特異な点である。事前説明会に出席せず、事前審査も受けていない状況で10日を切って事務所すら準備していないのであれば、どう考えても準備不足で選挙に成らないのであるが、風の便りに聞く話では、そもそも選挙に勝つことを考えておらず、売名行為の立候補が有るかも知れないという事なので、そうなると告示日の夕方の締切まで解らないという事になるのだ。
 
 さて、その様に選挙に成るか解らない状況の中で、市長選挙に係る費用を考えてみたいと思う。
 平成29年度当初予算では選挙費用として4,140万9千円が計上されているが、これは様々な状況を想定して高めに見積もられているものと考えられる。
 平成25年度末に実施された選挙では当初予算4,098万円に対して決算額は約2,954万円であり、比率にして72.09%であった。知ってのとおり前回は渡辺現市長と石川現市議が一騎打ちで争っていた状況で予算消化率が72%で有ったので、今回が仮に選挙となっても約3千万円程度で済むのではないかと推察する。
 
 そこで、仮に立候補者が一人しか居なくて無投票になった場合を想定して費用を計算したい。
 木更津市長選挙は過去に無投票に成ったことがないので比率を求めることが出来ないが、19日から24日までの不在者投票に係る経費、25日の投票と開票に係る経費、選挙に関する公費助成の一部が不要になるためそれなりにコストが削減できるだろうと思って選挙管理委員会に状況を聞いてみた。
 すると掲示板の設置や投票用紙の印刷及び郵送といった事前準備だけでなく、開票に関する機械等のリースや投票日に予定されている人材派遣についても違約金のような形で費用弁償が必要であったり、民間から借りる予定の施設についても何らかの対応が必要となる場所も有ること等で、無投票であってもそれなりの支出が発生し、無投票になっても半分に減るような事は無く、その差は概ね1千万円程度であろうと判明した。
 それでも1千万円有れば、それなりの行政需要に応えられる。例えば来年度に所管課から予算要求しながらゼロ査定となってしまった下記の5事業を合計した金額程度は対応できるのである。
所管部署 項目 予算要求額
市民活動支援課 防犯パトロール車購入 1,947
農林水産課 園芸産地整備支援事業 2,000
都市政策課 景観形成推進事業 1,000
市街地整備課 車両購入 1,179
土木課 市道230号線道路改良 4,000
合計 10,126
 金額の面もさることながら、何より実質的に人物や政策を選択する目的すらない、意欲の湧かない選挙をする無力感から解放される事は有りがたい。
 
 来週末がどうなるか解らないが、落胆しない事を願いつつ、今回の記事を書き上げた。