災害研修に参加する
2018/08/23記
 富津市議会の高木議員から「全国災害ボランティア議員連盟」の研修会が千葉県で有りますので参加しませんかという誘いを受けた。日程を聞いてみると20日から21日にかけて宿泊で実施するという事であり、習志野市議会の清水議員を中心に印西市議会の会員と供に企画を詰めているという事であった。ボランティアには個人の資格で何度と無く参加しているので、どの様な研修を行うのか興味もあり、参加することを表明したのが7月の事だったと記憶している。
 
 日程が近づいても特に案内もなく、今月に入り木更津市議会の全議員へ議員連盟の参加を呼びかけるチラシは入っていたものの研修の案内もなく、港まつりが終わって本当に実施するのかと心配になった頃に詳細な情報が届けられた。後で聞くところによると清水議員が西日本豪雨の被災地に入っていたので対応が遅れたとのことである。流石はボランティア議員連盟である。
 
 ともあれ20日は13時から習志野市役所で研修を始めるので県内の議員は会場整理の手伝いで11時に集合との話になった。質問通告が有るので若干遅れて到着すると、習志野市議会事務局が案内看板まで設置しており特に作業もなかった。その場で議連の年会費3000円と宿泊研修参加費の16000円を支払い、研修開始を待った。なお、初日の研修は下表の通りである。
No 報告市 災害事例 災害発生日
1 習志野市 地震による液状化 2011年03月11日
2 香取市 地震による液状化 2011年03月11日
3 富津市 豪雨による崖崩れ 2017年09月29日
4 千葉市 竜巻被害 2015年09月06日
 各市20分程度の説明で四市の事例を駆け足で報告する。
 
 習志野市は自衛隊OBの米山危機管理監から説明があり、質問の中で元自衛官が危機管理対応をしている事例が多い理由を聞いた者が居て、その答弁で既に国内で約3百の事例、千葉県で23の事例があり、自衛隊員は市役所職員と違って非常時に何をするのかという訓練を積んできているからだという回答があったが、それと同時に地域防災マネージャーの資格を持つ人を採用した場合は国より補助が出るという制度を初めて知った。
 香取市では液状化による側方流動が大規模に発生しているので、それに伴う権利関係の整理はどうしたのかと私が質問したが、復旧は現況に併せることが同意されており、国土調査も未実施なので現在の所問題は生じていないという事であった。境界画定を伴い国土調査を近いうちに行うので、その時に公図面積と現況が異なる等の問題は予見しているようであった。
 富津市からの報告の最後に「避難所自動解鍵ボックス」の説明があった。これは震度5弱以上の揺れで鍵が開くボックスを避難所に指定された場所に設置するもので、富津市の事例を見て高いなと木更津市議会では躊躇していたものだが今回の参加者はそこに興味を持っていたのが新鮮であった。
 千葉市の竜巻被害は全壊2世帯、半壊17世帯であり、国や県では10世帯以上の全壊被害が出ないと適用されない生活債権支援制度を補うため、市が独自に被災者生活再建支援制度を設けて対応した。この制度は参考に成りそうだと考える。
 
 市役所での研修を終えて宿泊場所の白子温泉に移動する。全国災害ボランティア議員連盟のHPを見ると会員数は370名を超えているようであるが、西日本豪雨災害での活動を続けているも多く、今回の参加者は私を含め27名の予定であり、そのうちの5名は行程の一部だけ参加と聞いている。参加者も千葉県の8名が最も多いが、新潟県・石川県・岐阜県・和歌山県・香川県といった関東以外からの参加者も多く、県議会・市議会・区議会・町議会と、母体も様々であった。なお、白子のニューシーサイドホテルに宿泊する者は22人であった。地域や立場の違いを乗り越え、同じ様な経験を積んでいる仲間意識が有るのか、懇親は直ぐに深まった。
 
 翌日はバスで九十九里浜を南から北まで走って旭市の飯岡に有る潮騒ホテルの1階に設けてある旭市防災資料館に入る。
 この資料館を設けている事で学校の研修としての利用が多く、ホテルの稼働率も高いと聞いた。震災後は被害の大きさに取り壊そうと予算化までしたようだが、現在は旭市に集客する重要な施設になっているという事は考えさせられる話である。
 昨日は県内の多くの事例を勉強したが、二日目は東日本大震災に対しそれぞれの立場の人がどう考え、現在どの様に行動しているのかという視点で研修が組み立てられている。 
No 報告者 災害事例
1 旭市役所総務課安全対策斑 東日本大震災からの教訓と対応
2 旭市社会福祉協議会 災害ボランティアセンター
3 いいおか津波語り継ぐ会 津波体験と現在の復興状況
4 千葉県立旭農業高等学校 復興支援の輪を広げる活動
 市役所からは被害の状況と現在の防災対策の説明があり、津波避難タワー4基と築山1箇所が整備されている。タワーは国の交付金で整備されたが、40年後には老朽化するため恒久的な築山に記念碑を設け公園として長く利用してもらうという考え方には賛同できる。
 災害ボランティアセンターの立ち上げの議論は発災3日目に県社協職員等が来所して議論が進み、発災5日目となる3月16日に開始されている。3月中だけの活動であるが16日間に7,608名の登録があり、570件の依頼に対して732件の活動を実施している。開始5日目の3月20日に最大となる1,972人が訪れ、受付処理に長時間を要したとのことである。未経験で大変だったようだが、これを機会に県社協がマニュアルを作成し研修や訓練を実施している上に資機材についてもストックヤードを設けたと聞く。迷惑ボランティアの説明に対し、自分の考えで行動している会員が異論を述べている点も含めて、色々と勉強になった。
 
 津波体験以降は昼食後の研修となる。被害を受けた443棟に対して新たに建設された家は30棟に過ぎず、地域の疲弊が進んでいるが、様々な活動を展開して地域に賑わいを取り戻そうとしている民間の力には感心させられる。この資料館も元区長会長が努めていた。
 旭農業高校では地域を花で明るくする活動を展開してきたが、伊豆大島で2013年10月16日に発生した豪雨に伴う土石流被害に対して、被災地のメモリアル公園整備を東京都立大島高等学校ととともに行うことや、宮城県石巻市の雄勝地区でもローズファクトリーガーデンの整備を手伝うなど、旭市に届いた復興支援の輪を遠く県外まで拡大していく活動を展開している事には感動を覚え、頭が下がる思いである。
 
 研修が終わって習志野市に戻って研修は終了となった。私も会員に成ったので、年に一度の総会と研修会に来年以降も都合が付けば参加することを考えたいと思う。因みに来年は岡山という事である。今回と同じように議会の質問通告の日からだとすると厳しいなと思いながら、取り急ぎ研修の報告とさせて貰う。