木更津の変化を思う
2018/12/25記
 木更津市に少し早いクリスマスプレゼントとでも言うべきか、伊豆島で「ポルシェ・エクスペリエンスセンター」というポルシェの体験試乗コースや展示施設が建設され、2021年のオープンを目指すというニュースが19日に届けられた。調べてみるとアジアでは上海に次ぐ施設で、日本国内では初めての施設になるようだ。
 
 確かに近くのかずさアカデミアパークは、首都圏からアクアラインを渡って来るという開放感や、素晴らしい景観と建築が評価されているようで、毎年のように自動車愛好家の集いの場所に成っており、今年も7月22日にフェラーリやポルシェが列に成って走っている所を、近くにある八天堂の庭から見させてもらった。
 
 報道によると試乗の料金は90分で4万円程度に成るのではという事なので、なかなか私には縁のない話であるが、それでも富裕層を中心に年間1万人程度の利用者を見込んでいるとの事である。三井アウトレットパークの第3期増床工事で目標来場者が1千万人とされていることに比べれば、その0.1%に過ぎないが、セレブな客層を集めることで、都市のイメージも変わっていくと思われる。
 
 さて伊豆島に隣接する笹子でも人工波によるサーフィン施設の開発許可が下りて2020年の開業が目指されている。「ケリー・スレーター・ウェーブ・カンパニー合同会社」によって申請された施設の詳細は解らないが、一般人の娯楽利用と言うよりプロの練習場のようで、多くの集客が見込めるものでは無さそうだ。それでもサーフィンとポルシェの街、という新しい冠が木更津市に着くという状況の変化には戸惑うほどである。
 
 双方とも市街化調整区域における開発行為のようで、都市計画法の地区計画を利用しているものでは無い。都心に近く、人家が疎らな土地がまだ残っている事が、このような進出を可能にしていると思われる。同じ様な条件は市内では矢那・草敷地区や富来田の周辺にも有り、近隣市も含めると適地は数多くある。バブルの頃には君津の大鷲地区に噂されていた映画村のような話が復活する可能性も否定できない。持続する事は変化し続ける事なのだが、まとまりが無く無秩序に開発が進まないよう、特に交通アクセスの改善を必要とするものは道路網の検討も進めねばならないだろう。
 
 今後もアカデミア周辺の調整区域に企業進出が続く場合、袖ケ浦市の吉野田地区で噂されている圏央道の追加インター整備が急がれるが、未だに具体化の話には成っていない。
 圏央道の笹子と伊豆島の間を通過している区間では、地形の関係で盛土から切土に変わるところも多く、高速道路が現地盤と同じ高さになる場所が何ヶ所か存在する。そこにアクアライン方向だけのハーフインターを設けることは、加速車線を確保できる延長が有れば良いはずだ。
 料金収受もETC専用のスマートインターとすることで、工事費だけでなく運営上の人件費も抑制できる。これは君津PAに併設されているものと同じで、そこに至るまでの道路は下の写真の右に入っていく道の様に、簡素なものでも許容されているので、アクセス道路の建設も必要ないはずだ。
  アクセス道路の建設費が不要な上に、山の中なので用地も安価だと思われるが、それでも申請業務に時間を要するし、供用中の高速道路で通行規制をしながらの工事となると、様々な制約がかかり、工事規模の割には事業費が高くなる。実際に事業化を進める上では県の支援は不可欠だろう。
 それでも、攻めの企業誘致を進めるため、袖ケ浦市が追加インターを具体化しない状況なら、木更津市が始めても良いのではと、今回のニュースを聞きながら考えていた。