水道広域化が機能する
2019/12/09記
 昨日、イオンモールで展示された防災訓練に関する企業等の展示の中にかずさ水道広域連合企業団のブースがあり、そこで断水時にパッキングした飲料水を配るためのウオーターパッカーが企業団に出向している木更津市の職員で実演展示されていた。
 1リットルのパックを1時間に2千個作成する能力のある機械で、木更津市がおよそ10年前に約8百万円で購入し、出番のないまま維持メンテナンスを続けてきたものが今回の台風災害で役に立ったという代物と聞く。私はこの存在を知らなかった。
 
 木更津市が購入の際に使用する袋も備蓄しており、それを広域連合に引き継ぎ、今回の災害で使用したので断水の続く君津市や富津市には木更津市のマークが入った袋に「木更津市水道部」と印刷して有るまま届けられたという事である。
 給水車は「かずさ水道広域連合企業団」と文字を塗り替えてあるが、これも断水が直ぐに解消した木更津市と袖ケ浦市から君津市や富津市に派遣され、給水作業を行ったと聞く。給水車の手が回らない地区には写真のパックがトラックで届けられ、命を繋ぐ機能を果たしたという事である。さらに断水が終わった後で、供給を開始する際にも木更津市の技官が両市で管路清掃に立ち会ったり指導したりと活躍したようである。
 
 各市が個別に水道事業を展開したい頃にも災害協定が行われていたので、今回に準じるような手伝いが行われたことも想像できるが、それでも一つの組織に成ったことで迅速で柔軟な対応が出来ていることは間違えない。私は今回の災害では水道事業の広域化が早速機能したものと考えている。
 しかしながら広域連合のHPを見てもその様な成果を披露している所が見あたらない。その前に、そもそもの広域化のメリットについても基本計画書を読み込まないと理解できない様に成っており、多くの市民にとって広域化に伴う合理化と組織強化によって、料金値上げが先送りできる事などのように何が守られ、何が便利になったのか伝えようと云う意欲が見えない。
 その結果、断水の発生時に、職員が遠くの木更津から駆けつけるのが時間が掛かって遅くなるので、統合前の方が親切だったという意見が聞こえてくる始末である。これは広報を担当している職員も通勤が長くなったとかのデメリットを考えている結果なのではと疑いたくなる話しである。
 
 水道は地域独占で、PRの必要性が自覚できないのかも知れないが、水道法の改正で民間企業が食指を伸ばそうとしている世界でもある。民間が出来ることは民間に、という基本原則には賛成する立場の私であるが、災害時の対応や利益を上乗せしない安価な料金の維持のために水道事業の民営化には賛同できないと考えている。それ故、広域連合が市民生活にどの様に貢献していたのか、今後どの様にメリットが生じるのかPRすべきだと私は思っているのである。
 1リットルパックの水道水をお土産に持ち帰りながら、その様なことを考えていた。