国際社会を考える
2020/01/08記
 新年早々にテレビを賑わせているのが日産の元CEOで金融商品取引法違反と会社法による特別背任罪で留置され保釈中のカルロス・ゴーン被告が出国手続きを取らずにレバノンに逃亡した事と、アメリカ合衆国政府がイラク国内においてイランの革命防衛隊のガーセム・ソレマイニ司令官を殺害した話である。
 ゴーン被告は欧米の報道陣に対して日本の司法制度の問題点を語り、イラクの国会は米軍の駐留を終了するよう決議し、イラン政府はイラク国内の米軍基地に対してミサイル攻撃を行った。
 
 ゴーン被告が世界に向けて主張する事により、日本の裁判が長期間に渡ることや、裁判が結審するまでの間も犯罪者のように扱われる事などが変わることになるだろうか。日本の治安が悪くなる方向での変更に向かわないことを願うばかりである。
 保釈中の逃走には罰則を加えるなど法制度の変更が議論されているが、出国でプライベートジェットが利用された事で出入国の制度も穴があったことが明らかになった。大人が箱に入って密出国が可能なら、密輸なんて容易な話だろうと思う。今年はオリンピックが開催され、多くのプライベートジェットが日本に飛んでくるだろう。個人的には木更津飛行場を活用できるようにしたいと考えているが、入国管理や課税等の機関が必要であり、今回の騒動で一層の厳格化が求められ、ハードルは一層高くなるだろう。
 今までも米軍関係者が公務中と主張した場合は日本国内の法律で裁けない問題もあったが、今回のように日本国内で違法行為を行ってもレバノンの様に犯罪者の引渡協定が結ばれていない国に行けばお咎め無しに成ることは残念である。その一方で香港の人々が撤回を求めてデモを行っているのは中国に犯罪者を引き渡す法律である。建設会社の社員が写真を撮影したことでスパイ行為として中国に拘束されていたことも記憶に残る。国境を越えて容易に人が往来する時代に「犯罪」の定義の国際化も求められているのかも知れない。
 
 イランの司令官がイラクで殺されたことは、イラク国内法で殺人事件に成らないのであろうか。宣戦布告が行われていない状況下で大統領が指示したとしたら、殺人教唆と成るのではと思う。アメリカ大統領は軍を使って何をしても良い訳ではないだろう。
 ロシアや中国はイランの側に立ち、国連でアメリカの非難を行うようだ。戦闘行為の拡大には成らないと信じているが、サラエボで皇太子が殺された結果として第一次世界大戦が始まったように、欧米では第三次世界大戦という声が出始めている。株価は下がり原油価格は上がり始めた。国際社会や合衆国議会が自制して、事態の収拾を目指して欲しいと願っている。
 イランへの攻撃が行われた場合、イスラム過激派を刺激して世界的にテロが増えることも心配である。今年は治安が良くなればフィリピンのビスリグ市と友好協定の締結に行く予定であるのだが、ミンダナオ島のゲリラ活動の結果、外務省のHPによると島の東部は「不要不急の渡航は止めてください」というレベル2であり、西部は渡航中止勧告のレベル3である。因みにナイジェリアの大多数はレベル2で、中には退避勧告のレベル4の州もある。このレベルが上がる事が有れば今年もビスリグ市には行くことが出来ないだろう。
 
 外国からの観光客も増大し、多くの産業で在日外国人が働く時代に成っている。私の所属する町内の17世帯にもアメリカ籍と台湾籍の方が居るように共生することが当たり前と成っている。
 如何なる背景の方でも過ごし安く、阻害されない街を造って行かねばならいと考えているが、国際社会の中で地方自治体が出来ることなど僅かなことだと、新年早々に考えていた。