救急医療を考える | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2020/01/15記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
昨日、松戸市立総合医療センターを視察した。ドクターヘリは配備していないもののヘリポートは備えられ、また市内の緊急対応に備えてドクターカーを配置していた。診察科は千葉大の医局から医師の派遣を受けているが、救急医療は東京医科歯科大学の医局から人を受け、3種のICU(集中治療室)を備え、一般病院では対応できない高度医療に対処しようとしている公立病院の矜持を感じて帰ってきた。 さて、木更津市には近隣三市と供に運営する君津中央病院が存在し、行政からも多くの負担を行っている。しかし市民の中からは救急車をなかなか受け入れてくれないという苦情も聞く。議会でも救急車の到着は早いのに何故病院に速やかに搬送できないのかと多くの議員から質問が行われている状況である。 そこで平成30年度の救急搬送実績のデータを入手し、木更津市からの救急搬送者 6,293名がどこの病院に行ったのか調べ、年間に20人以上受け入れた施設を整理したものが下表である。なお表中の黄色着色施設は受入数上位10施設である。 |
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君津中央病院は合計144施設の中で最大となる2,291人を受け入れ、その比率は36.41%に達するが、民間の萩原病院がその約半分となる1,020人も受け入れてくれていたことには感謝するばかりであり、君津中央病院にはもっと頑張ってもらいたいと思うところである。 受入数の3位に君津市の玄々堂病院、4位に袖ケ浦市のさつき台病院、7位に君津市の鈴木病院、8位に富津市の東病院が入るものの、木更津市の55施設計では全体の74.7%となる4,701人を受け入れている。救急車が到着しながら、なかなか受け入れ先が決まらない状況ではあるものの、多くを市外へ搬送しているわけではないことに木更津市の病院の皆様に感謝したい。 しかしながら、逆の視点で捉えると木更津市の患者の4人に1人は市外の病院に搬送されている事になる。畑沢地区からは玄々堂病院の方が近いとか、中郷や富来田だとさつき台病院も遠くないことなど、地理的な要素もあるだろうが、近隣市の中では医療施設に恵まれている本市としては、その後の家庭との連絡の容易さも考えると、可能な限り市内で完結できればと願う。 因みに地区別の受入割合をグラフにすると下図のようになる。 |
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かずさ四市で94.6%をカバーしており、帝京大学を有する市原市や亀田総合病院を有する鴨川市に多くの患者が送られているわけではない事も解った。 全国を見れば神戸市立医療センターや湘南鎌倉総合病院のように「断らない救急医療」を掲げて地域の安心感を支えている施設もある。私も救急車の中で長時間に渡り待たされた患者を持つ親族から何とか成らないかと言われることも多い。もちろんその為には現在より多くの医師や看護士が必要となり、治療費という収入が増える以上に人件費等の支出が増える事も覚悟せねばならないだろう。 松戸市立総合医療センターのように集中治療室や小児科の充実といった不採算と知りながらも高度な医療を追求することも必要であるし、万全の救急対応も求められている。これから高齢化が進み医療費の増大が懸念される中で、地域医療はどうあるべきかと考えながら、資料を提示させていただいた。 |