基地協議会で思う | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2020/02/04記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
先月29日に開催された全国市議会議長会基地協議会総会において、2年間努められた三沢市議会議長から岩国市議会議長に会長市が変更となり、木更津市は引き続き副会長の職に留まることとなった。因みに副会長は木更津市を含め16市4町村も置かれ、関東からは綾瀬市、昭島市、東松山市が選出されており、町村枠からも東京都瑞穂町が副会長になっている。 全国市議会議長会基地協議会は基地関係都市の共通問題を調査研究し具体的解決方法の推進のため昭和31年10月6日に設置され、現在は161市45町村が加盟しており、令和2年度より高松市も加盟する事になっている。全国市議会議長会には、他にも全国自治体経営病院都市議会協議会など、市議会議長会で事務を取り扱う組織が6団体ほど設置されているが、歴史の古さや活発な活動状況は基地協議会が群を抜いていると聞いている。 木更津市でも5年前から個別要望活動を行っているが、全国の自治体と共同して騒音対策や交付金の拡大など共通問題を国や国会議員に対して要望を行うことは効果的であると考える。 では全国に基地に関係する自治体は幾つ有るのだろうかと考えると、一つの目安は基地が立地することに対して総務省が固定資産税の代替として支給する基地交付金・調整交付金がある。 基地交付金は国が米軍に使用させている土地や建物等と自衛隊が使用する飛行場や練習場・弾薬庫等の軍事に要する土地や建物に対して交付するもので、昭和32年度より交付が始まり、今年度は297自治体に291億4千万円が支給された。ここで注意すべきは、自衛隊の官舎や事務所は対象になっていないため、自衛隊があっても支給を受けない事も有り得るという事である。木更津も飛行場等で支給は受けているが、隊の庁舎が新しくなって財産価値が高くなっても対象外のため増額には成っていない。 調整交付金は米軍の土地や建物といった財産(通称ドル財産)に対して交付するもので、昭和45年度より交付が始まり、今年度は53自治体に74億円が支給された。木更津も米軍は常駐していないもの日米安保協定上の米軍優先基地であり、米軍財産の建築物等が多くあるので支給を受けているはずである。多くの自治体が基地交付金の上乗せで調整交付金を受けていると思われるので、単純に297+53という事でなく、297自治体に自衛隊か米軍が置かれていると考えることが適当だと思われる。 現在、基地協議会加盟都市の206市町村で、そのうち基地交付金・調整交付金を受けている自治体は187市町村である。従って基地が存在しながら基地協議会に加盟していない自治体は最低でも110市町村はある事になる。具体的には嶺岡レーダー基地の有る鴨川市や朝霞駐屯所のある朝霞市などが加盟して居らず、横浜市は会長を務めた事のある市で有りながら退会している。米軍基地が多く立地する沖縄県からは2市が加盟しているだけである。藤本新会長は会員拡大を進めたいと言われていたので、今後は増加に転じる事であろう。 一方、基地交付金を受給していない加盟自治体が19市町村ほど有るが、ジェット飛行機の運用等で生活環境や開発に著しい影響を及ぼしている自治体のため昭和49年より防衛省が交付を行っている「特定防衛施設周辺整備調整交付金」だけを交付されている加盟自治体が6市町村で、関東では藤沢市がそうである。 それも受けていない自治体が16市町村であり、関東では海老名市がそれにあたる。綾瀬市の議長に聞くと厚木基地の騒音対策で共闘している自治体が一度に基地協議会に加盟しているためという事であり、防音助成等の対策は成されているのかも知れない。 因みに特定防衛施設周辺整備調整交付金は実弾訓練場やヘリコプターの運用基地にも枠が拡大され、昨年の予算規模は218億円である。数年前から木更津市にも交付され、40mはしご車の購入などに使われている。周辺整備なので基地周辺の具体的な環境整備に回すべきだと議会では一致して市に意見している交付金でもあり、議会の要望活動が実を結んだのかは解らないが、近年は交付額が増加傾向である。 基地交付金・調整交付金と特定防衛施設周辺整備調整交付金は基地協議会の負担金算出根拠となるため、各市の受給額が資料に示されている。それを基に合算で1億円を超える自治体を選出して一覧表にしたものが下表である。 |
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上記のように加盟自治体の内81市町村が1億を越えており、木更津市は41位に位置していた。千葉県内では下総基地の多くを所有する八千代市が上位に位置している。米軍の戦闘機部隊の騒音に悩まされている岩国市と三沢市は30億円越えと突出している。多分、加盟していない那覇市も巨額の交付を受けていることは容易に想像できる。また東富士演習場を抱える富士吉田市や御殿場市等も多くの交付金がもたらされているが、それだけ周辺住民は悩まされているのであろう。西丹沢を登りながら耳についた遠くの演習場の音が思い出される。 木更津市にはオスプレイが暫定配備されることになる。騒音レベルは現在運用している大型ヘリのチヌークと大差ないとはいえ、周辺環境に与える影響は無視できるものではない。今後、この額がどの様に推移していくのかも注視しなければならないと考えながら今回の取りまとめを行った。 |