災害対応を考える
2020/02/19記
 本日の本会議で今年度予算の補正が承認された。多くの補正項目がある中で昨年の秋に来襲した台風に関する補正予算が今回も計上されている。2回の専決処分と12月補正予算に続き4回目の補正である。特徴としては過去の全てが追加であった事に対し、今回は増額になったり新たに追加された項目は多いものの、今年度中に実施することが困難なものを来年度先送りにした事などで関連予算が減額になっている事である。
 
 具体的な一般会計予算の推移は下表の通りであり、この中には特別会計への繰り出しも含まれているが、特別会計での対応は含まれていない。金額の単位は千円である。
項目 日時 区分 金額 累計
当初予算 2019年03月20日 議決 1,500 1,500
◎台風15号 2020年09月09日 襲来 1,500
専決第1号 2020年10月11日 専決 248,847 250,347
◎台風19号 2020年10月12日 襲来 250,347
◎台風21号 2020年10月25日 襲来 250,347
専決第2号 2020年11月01日 専決 911,251 1,161,598
12月補正 2020年12月18日 議決  2,047,156  3,208,754
03月補正 2020年02月19日 議決 -294,651 2,914,103
 
 当初予算に計上されている150万円は応急災害対策事業費で、当然それだけで対応できるような災害ではなかったので数回に渡り多額の補正が行われているのである。額の推移をグラフにすると下図の通りである。
 
 当初予算の150万円は軽微すぎてグラフの上では0に見えてしまう事で、如何に多額の予算を導入したかが解るであろう。
 
 今回で2億95百万円が減額になったとはいえ、木更津市の台風災害対策関連予算累計は29億14百万円に達した。このうち独自財源である一般財源で対応する額は10億66百万円であり、そのうち3億78百万円は特別交付税で措置される額となるが、財政調整基金を大幅に取り崩す事態に至っており、中期財政計画も変更を余儀なくされている。
 因みに今年度から広域連合となった水道事業では国から災害対応経費の補填が行われない電話対応等の人件費の追加予算として19百万円の補正が2月3日の議会で承認され、そのうち木更津市分は7百万円であった。この額は水道事業全体から見れば軽微であるが、来年度から新規事業として長期停電対応等の災害対策事業が進められる予定であり、これは統合計画事業に含まれていないため、統合後5年で見直しが行われる予定の水道料金にどの様に反映されるのか注視している。
 
 木更津市を含む房総半島は15号・19号・21号という度重なる台風で大きな被害を受けているが、特に19号は長野県・福島県・宮城県を中心に人的被害は99人を数え、災害救助法が提要された自治体は14都県の390市町村に達してしまった。
 その災害に対して104箇所で災害ボランティアセンターが開設され、10月12日から12月24日までの間に述べ19万3012人のボランティアが活動していたことを2月7日に開催された災害対策技術展のセミナーで知った。有り難い話である。
 
 因みに今年の漢字が「災」で有ったのは昨年ではなく2018年の西日本豪雨や胆振地震等を受けてのことであり、ここ2年間は広域災害が続いている。この事は市議会議長会の会計も直撃している。それは災害救助法が適用となった市に対して見舞金を渡す制度があるためで、平成28年度は22市に210万円、平成29年度は20市に110万円であったが、平成30年度は107市に645万円、令和元年度は既に240市に1320万円を渡すことで積立金が底をついてしまったのである。近年の多発する自然災害を前提にすると、残念ながら見舞金制度を廃止せざるを得ないと言う苦渋の選択が市議会議長会事務局から届けられた事にも近年の異常事態を感じざるを得ない。
 
 今年の冬には個人的に危惧していた雪の被害は生じずに済みそうであるが、来年度には地球温暖化に伴う大型台風を覚悟せねばならないし、東日本大震災で歪んだ日本列島が大地動乱の時代に入っている前提に立つと首都直下地震や東南海トラフでの大規模海溝型地震も想定せねばならないだろう。
 その為に巨額の予算を計上する事はナンセンスで有るが、少なくとも被害額を少なく抑えるための努力を積み重ねねばならないだろう。補正予算の議決にあたりその様なことを考えていた。