学校の休校に思う
2020/02/28記
 新型コロナウィルスの感染が教育現場に広がってきたことを受けて北海道の鈴木知事が道内の小中学校約1600校の休校を検討するよう求めたのが25日のことで、道内では27日から一週間の予定で休校となった。
 道内で休校が始まった事に対して評価が高く批判が少なかった事を受けたのかは定かではないが、昨日に政府は全国の小・中・高等学校で春休みまでの臨時休業を行うことを要請し、木更津市では本日開催の会議で政府の要請に従い3月2日から3月24日まで小中学校の臨時休業を行うことを決定した。3月1日は日曜日であり、3月25日からは春休みに入る日程なので、今日が今年度最後の授業となる可能性が高い。わずか数日で教育を取り巻く環境が劇的に変化してしまった。
 
 日中に家族が家におらず、どうしても子どもを預ける事の出来ない世帯のため、登校を全て禁止するのではなく、都合が付かない世帯に対しては登校を認めるようだが、登校する生徒と自宅待機する生徒の不公平が生じないよう、学校に来ながらも自習の時間とするようである。また学校給食も休校中は提供されず、家族はお弁当を持たせることになりそうだ。
 医療現場やライフラインを維持する人達が学校の休校によって仕事を休まなくなるようでは社会の崩壊に繋がると思うので、この決定は評価するが、実際に多くの児童・生徒が学校に来ながら黙々と自習しているようでは本来の目的であるウィルスの蔓延を防ぐことに成らず、ただ単に授業が無くなって教育レベルが低下するだけの結果に成りかねない。
 君の家庭は日中に一人じゃないのだから学校に来ては成りませんと現場で言うことが出来るだろうか。また同居している親族で日中に家にいる人が足腰の弱った高齢者の場合はどう考えるか等、現場での戸惑いは多くなるだろう。
 
 休校に伴い、来月の授業で教えようとしていた授業内容の不足分をどうするかとか、成績の付け方をどうするかとか、長期休校中の教職員の労務体制など教育現場の問題に加え、給食の食材を提供している業者が在庫を抱えてしまう事や調理の職員の勤務問題、自宅待機をしているはずの生徒が昼間に遊びに出てトラブルに巻き込まれる事や自宅でも詐欺等の被害に巻き込まれる可能性も問題で、突然の決定には戸惑うばかりである。
 
 卒業証書授与式については来賓や家族の参加を制限し、代表者受領とするなどの簡素なものとして実施するようであるが、中学校と高校の卒業生は、これから別々の道を歩む友人達との貴重な最後の一ヶ月がこの様な形で失われ、想い出も創れないことには心が痛むばかりである。
 大流行を防ぐため、休校が感染症対策として有効であることは頭で理解しているものの、本当にこの様な事態にして良かったのだろうかという心の声が止むことはない。
 
 公立高校の後期試験や国公立の入試はこれから行われるので、そこでの感染対策も大きな課題になるだろうが、多くの大学で入学式も行わないことを表明しているように、暫くは人が集まる行事は極力回避されることになるのであろう。
 しかし、満員電車での通勤、朝の駅の雑踏等、行事でない場所で人が多く集まる日常は続いている。来月は全て通勤も控えるとなると多くの企業は存続の危機を迎えることになるだろう。
 一部の会社では自宅で業務を行うことも検討しているようだがセキュリティの低い家庭から情報漏洩等の新たな問題も生じるように感じている。顔を合わせないことで仕事の効率も低下するだろうし、その様な背景もあって株価の低迷も進んでいる。
 
 東京ディズニーランドとディズニーシーは明日から来月15日まで臨時休園を決め、国交省も公共工事を一時中止するなど、対策の広がりは何処まで拡大されるのか予想が付かない。日当で働いている労働者は収入が絶たれて大変なことに成りそうである。
 来月の早い内に収束が宣言されるか、有効な対処薬が発見されることでインフルエンザ程度の危険度に認識されれば、学校では春休みになる前に授業を再開するという可能性は残っている。
 この様な先の見えない非常事態が長く続かないことを願いながら思う事を記載する。