施設内感染を憂う
2020/03/30記
 東京オリンピックの延期が決まったからと云うわけではないだろうが、ここ数日は新型コロナウィルスの感染者の増加が急になり、土曜日には船橋市が東庄町に開設し指定管理で運営している知的障害者施設の「北総育成園」で一気に57人(茨城県内からの通勤者6人を含む)の感染者が発生したと報道された。そのうち26人は症状が出ていない感染者という事である。さらに29日には職員の家族や検査結果の出ていなかった入居者などから28人の感染が確認され、クルーズ船を除くと台東区の永寿総合病院とともに国内最大規模のクラスターが千葉県内で発生したのである。
 27日まで千葉県発表の値では累計72人(外国に居住していながら千葉県内で発症が確認された者11人と県外に居住していながら同様に確認された者6人を含む)であったが、一気に135人まで増え、さらに追加で確認された28人を加えると163人となり、数日中に200人を越えることを覚悟しなければならないほどの急激な増加状況である。参考にグラフを造ってみた。
 
 
 
 27日に感染が確認された40代の女性職員の勤務先ということで集中的に調べられた結果、症状が出ていない感染者の存在が明らかになったと考えられるが、これまでは中国の武漢市居住者が1月30日に無症状で感染している事が明らかに成って以来、僅か3人しか無症状の感染者居なかったものが急に29人まで増えたという事象に、実は無症状の感染者が検査を受けていないことによって見過ごされている者が多くいるだろう事が想定され、改めて恐怖を感じており、さらに追い打ちをかけるように県内でも死亡者が発生してしまった。
 
 今回の東庄の事例を除くと、市川市の18人、松戸市の11人、船橋市の6人が感染者の多い自治体であり、それぞれ大規模な病院を保有する自治体であったが、今回は医療設備が手薄である北総地域での発症であり、茨城県側や印旛地域での支援があると思われるが、それでも病床数が不足する事が想像され、千葉県の医療体制の継続性が心配になる。
 既にイタリアやアメリカでは急激に増える患者に対応する病床数が足りず、肺炎で亡くなっていく事が解っていても対処できずにいる状況だと伝わっているので、感染者数の急激な増加を如何に抑制するかという対策が必要になっている状況を痛感する。当該施設を含め福祉施設では感染対策は行われていると思うが、感染を防げなかった場合に一気に蔓延しないような対処を検討せねばならないだろう。その場合はスタッフへの負担増が心配である。
 
 昨日、コメディアンの志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなったことがニュースから伝えられている。阪神タイガースの選手にも観戦者が明らかになるなど、著名人の中でも蔓延している事が国民の抑止心理に繋がればと思う一方、自粛によって経済活動を崩壊させては成らないという気持ちも一方にあり、躊躇しながら今回の記載をしている。