外出自粛を考える
2020/04/05記
 新型コロナウィルスの国内感染者数は先月末から急激に増加を続け、5日17:23発表のNHKによるとクルーズ船の乗員乗客を含め4,401人が感染して96人が死亡し、東京都内だけでも1,034人の感染が確認されている。千葉県でも東庄町で大規模な施設内感染があった結果、大阪府・神奈川県に次ぐ全国4位となる236人が公表されており、千葉県は県立高等学校の休校を今月末まで延長することを本日の臨時記者会見で発表した。
 これを受けて、木更津市を含む多くの県内自治体における小中学校の対応が協議された結果、本日午後にかずさ四市も今月末まで休校を延期することが決められ、先ほど議員宛にも通知がされることになった。
 
 教室で感染が広がり、子どもたちを通じて各家庭にウイルスが運ばれて同居している高齢者が危険な事態になることを避けるという意味では正しい判断である事は間違えない。ただ翌日に始業式を控える中で突然の発表は混乱を招く事だろう。
 さらに今月末にはGWという大型連休が待っている。外出自粛が呼びかけられ、「家にいよう」(Stay at home)が合い言葉になる中であっても、先月末の連休のように外出することを想定せねばならず、その結果が明らかになるのはGWが終わってから半月後と考えると、学校の休校は来月中旬まで延期し、5月18日から開会するという考え方を基本とすることが望ましいだろう。
 
 感染を防止するため、中国が武漢市で行ったように外出を完全に禁止することが効果的であることは解るが、個人的には密閉・密集・密接を避けて屋外に出ることは健康維持や免疫力向上のために抑制するべきではないと考えている。集団ではない山歩きや海岸線の散歩、自転車などは感染のリスクはスーパーで買い物するよりずっと少ないだろう。特に潮風を感じながら行う潮干狩りなどは感染から遠いところにあると信じている。混雑している都市部や特に密閉空間の夜の酒場等に出かける事は厳に避ける事は当然であるが、一律に外出自粛をする事は疑問なのである。
 
 むろん、移動するために混んでいる公共交通機関を使えば感染リスクが高まるし、マンションの住人はエレベーターだって危険と考えなければ成らないだろう。また、自然に触れ合った帰りに混んでいる観光地や土産物屋に立ち寄る事で感染のリスクは高いし、万が一既に無自覚のまま感染していたら出先にウイルスを拡散する当事者に成ってしまう可能性がある。更に空いていると思って出かけた先で予期せぬ混雑に成ってしまった場合(例えば山頂が混雑している登山)、回避する手段が難しい事も念頭に置きながら、行動をしなければ成るまい。
 更にはアウトドアの行為で怪我をして病院の世話に成るような事態になれば医療機関への負荷を増やすことに繋がるとか、感染のリスクが少ない自家用車で移動することは地球温暖化に悪影響だとかまで考えれば「家にいよう」という結論に成ってしまうのかも知れない。窓辺から差し込む光を浴び、外気を思いっきり吸い込み、室内でスクワットして汗を流すのが社会貢献なのだろうか。
 
 ジョンキンズ・ホプキンス大学の集計では5日6時現在でアメリカ合衆国が30万人を越え、全世界では118万7千人が感染し、死亡者数も6万4千人に達しているようである。一方では多くの感染者が回復しており、新型コロナウイルスの免疫保有者も増えているものと考えられる。いっそ、軽症者をオリンピックの選手村のように収容力のある場所に集中させ、そのサービスをコロナウイルスからの回復した市民に担っていただけることで封じ込めが出来るのではないかと考えたりもする。
 解っていることは、この状況が続くと飲食店や旅行業界などのサービス業を中心に多くの小規模事業所が廃業に追い込まれてしまうことだ。感染症が収束した後に全国的にシャッター街と成ってしまう荒野のような風景が残るのかも知れない。
 
 ワクチンの発見と量産開始まで先の見えない状況が続くものと想定される。感染の途中でインフルエンザのように次々と新型に変わり、ワクチン開発が追いつかない様な事態になるという最悪のケースを考えてしまうと、免疫力が高く感染に強いものだけが生き残るという、残酷な現実が起こるのかも知れない。進化したと思っていた科学が、実は万能ではなかったと感じ、それでも百年前のスペイン風邪の様な事態は回避できると願っているのだ。